強迫性障害の全貌

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強迫観念と妄想の違い その2

強迫観念というのは、思いたくないのに思ってしまう思いなのですが、妄想は、幻覚と同じく、思いたいとか思いたくないというステップがありませんし、本人固有の思いであるという認識もありませんから、それを否定しようとか振り払おうとかせずに信じ込んでいます。

強迫観念は、自分の思いである認識があるからこそ、それを振り払い消そうと試みるのです。

自分の思いであるのに、なぜ簡単に振り払えないかといえば、本人にとっては、その思いが現実的であるからです。

一般の人が、非現実、あり得ないとして、すぐに否定できるか、そもそも思いもしないようなことを、強迫性障害の人は、現実的なあり得る思い、もしくは現実そのものとして認識するので、自分の意志だけでは、簡単には振り払えないわけです。

妄想や幻覚は、非現実的な範囲の思いを現実として認識するのですが、強迫観念は妄想的ではあっても、現実的な範囲の思いを現実として認識しているのです。
なので、強迫性障害の人は、よっぽど非現実的な思いであれば、思い浮かんでもすぐに否定できるし、簡単に振り払えるのです。

強迫観念は現実の範囲にあるからこそ、自分の思いとして認識できるし、実際に現実的な思いなので、幻覚や妄想よりも薬が効き難いわけです。

強迫観念は、少なくとも本人の感覚では現実的で大いにあり得ることに思えますから、あり得ないから心配ないとは思えません。
それを言えば、妄想とも言えますが、強迫観念は、実際の現実性(現実との関係)が強いので、明らかに非現実的な妄想や幻覚とは区別して、強迫観念と呼ぶのです。

強迫観念の妄想性が強ければ、妄想様の強迫観念があるとか、精神病様の強迫症状があることになり、その場合の強迫観念は、妄想とほぼ変わりませんが、本人がそれを自分(だけの)の思いだと分かっていたり、妄想的であることを自覚できたりすれば、その意味では、統合性が保たれていますから、統合失調症ではなく、強迫性障害(強迫症)なのです。

統合失調症強迫性障害は症状が違うし、どちらも軽症から重症まで様々ですが、重症の強迫性障害だと統合失調症よりも障害の度合いが重い場合もあり、強迫観念には薬が効き難い分、何年も治り難く予後不良になります。

そんな場合でも、より良く生きるには、どうすれば良いかを、今後、ご提案したいと思います。