強迫性障害の全貌

強迫性障害の知識の普及 Link Free

本来、強迫性障害は難治性である。

薬が効く人は少ないです。

その言い訳のように行動療法もあることになっていますが、保険内でやっているところは少ないようです。
しかも、その療法に対して抵抗が少ない患者にしか受け入れられません。

基本的に、行動療法による症状の改善率のデータには、

行動療法を受けていない多くの患者

行動療法を受けられない重症患者

行動療法を最後まで受けられなかった患者

などは含まれていません。

行動療法に積極的に取り組んで最後まで受けられるような患者は、前向きな心の軽症の人が多いので、そういう患者のみでデータを出せば、改善率は当然良くなります。

逆に、

行動療法を受けていない多くの患者

行動療法を受けられない重症患者

行動療法を最後まで受けられなかった患者

のみだと改善率は出せなくなりますので、行動療法がどれだけ有効なのかという話はあまり信憑性がありません。


強迫性障害は軽症から最重症まで病状や病態に幅があり過ぎることも問題です。

強迫行為への依存症タイプの人

強迫行為が癖になっている人

心配性の人

強迫観念の苦痛や恐怖感が弱い人

現実と結び付いた強迫観念ではなく、強迫観念を妄想してしまう人(妄想上の強迫観念で強迫症状が出ている人)

トラウマ恐怖(トラウマを連想する物事などの回避など)と、強迫症状が重なっている人

うつ病などが併発している人

発達障害的なこだわりの強さが重なっている人

いろいろと併発している複雑性強迫症の人

などなどがありますので、どんな治療が合うかというのも違ってくるので、同じことをしても治しやすい人、まったく治らない人がいます。

以前に書きましたが、適応薬の治験も軽症患者のみで行われますから、軽症でなければ、まったく効かないことも多くあるのです。
その適応薬も40年以上前の抗うつ薬で、何年か前に一種類増えただけで昔から変わっていませんし、全体からすると行動療法を受けられる軽症レベルの患者はほんの一部の人で、改善するのもその中の一部です。
昔は難治性で、近年は治しやすくなったという話は、やや大げさと言えます。
軽症の内に治療を受ける人が増えただけで、強迫性障害が治し難いことは、昔も今もそんなに変わっていないのが事実です。

高所恐怖症の人が、抗うつ薬を飲んでも、高所に行けば怖いのと同じで、抗うつ薬には強度の恐怖を消すような力はありません。
抗うつ薬だけで強迫症状が治るとしたら、強迫観念の恐怖感が弱い人に限られることになります。

しかし、うつ症状が、強迫症状を悪化させるのは確かなので、悪化を防ぐためにも抗うつ薬は有効だとは思います。