強迫性障害の全貌

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強迫性障害患者に対する適切な治療とは何か? その3

前回の記事の続きです。

一般的な強迫性障害の説明に書いてある「適切な治療」というのは、適応外処方含めた薬物治療と合わせて、認知行動療法を行うことのようです。

それで治せるということになっていますが、治せないのに治せると言ったり、治せないのに、自宅で自分で治せます、みたいな本を売るのは、サギみたいな行為ですので、軽症であれば、ということや、治らない人もいるという現実も説明するべきです。

強迫性障害患者から重症患者を除外すれば、治せる可能性もありますが、実際には多くの重症患者が含まれているのですから、治せない場合も多くあるのです。

適切な薬というのも、SSRIだけのことではないようなので、そのこともはっきりと書くべきです。

本来は強迫性障害の薬ではない抗精神病薬を適応外処方する場合は、保険適用するように病名を(統合失調症に)変更すればいいのですが、強迫性障害としては治験をしていない(有効性、安全性を証明していない)薬を使うのですから、それをするかしないかは患者さんの病状や生活を考えた上での病院の判断によります。
抗精神病薬は重症の人に効くというよりは、軽症だけど思い込みが強い人に効きやすいはずです。

基本的に強迫症状は調子の波がないのですが、昨日は気になったけど、今日は調子が良くてあまり気にならなかった、みたいな波のある人も女性には多いようで、そういう人は、気分の波が強迫症状と繋がっていると考えられますから、気分障害が主体にあるのではと思います。
SSRI(抗うつ薬)や気分調整薬が、こういうタイプの人には利きやすいかもしれません。

神経過敏、感覚過敏があるタイプは、発達障害も考えられます。違和感に弱い、しっくりこない感じに弱いというのが根本にあり、それがストレスで悪化して、いろんな強迫症状を持ち合わせたり、複雑な症状になったりします。
逆にストレスで悪化しなければ、違和感に弱いとかの強迫感覚による単純な強迫行為のみで済むこともあります。
このタイプは、元々ストレス耐性が低いので、薬や通院などの治療行為もストレスになってしまい治し難いはずです。
治すことよりも生活の質を上げるためのサポートを受けることが最適です。

認知行動療法は、ほとんどが健康保険適用外なので、受けるとしても全額自費で払うことになります。
考え方や行動パターンを変える訓練なので、軽症の人なら短期間でも治しやすいのですが、当然、治らなくて期間が長引くほど費用も増えますから、重症の人には非現実的な方法になります。
保険適用の認知行動療法もありますが、実際にやっている所が少なく、治すというよりは、薬で軽症化したあとのリハビリのようなものなので、これも重症の人向けではないのです。

現実的なのは、強迫性障害に保険適用しているSSRIを使うことぐらいで、実際に多くの患者さんはそれぐらいしかできません。
重症の人は、なにもできないような社会的能力の低い人が多いので、ハイレベルな治療は逆にストレスになってしまうのです。
SSRIで軽症化した人は、最初から軽症の人なのですから、あとは本を読んで一人でセルフ認知行動療法をしてもらえば治せるのです。

実際にはSSRIがまったく効かない人も多いわけですが、その場合は、その他の方法もあまり期待できません。

1ついえるのは、軽症の内に治療したほうが治しやすいということです。
強迫性障害は、主に思春期から20代前半ぐらいまでに発症する人が多いので、20代の内であれば、なんとか治せるかもしれません。
重症の場合は、何をしても治らないまま、30年も40年も苦しみ続けることになりますが、それ以上になってくると、もはや社会適応しなくても良い時期になりますから、あまりデータもないようです。

高齢者で強迫性障害というのもいるとは思いますが、SSRI自体が認知力を低下させる作用があるので、高齢者に使うことは少ないのです。
認知力、記憶力などが低下して、モウロクしてくると、強迫症状も落ち着くのではと考えています。
ただ、強迫性障害だとボケ難いということはあるかもしれません。
ようするに、SSRIというのは、アルツハイマーの薬(アセチルコリンを増やす薬)と逆の作用があるので、頭をボケさせるです。
そのボケ作用が、細かいことを気にしてしまうとか、嫌なことが忘れられないとか、そういう面を改善するので、軽症であれば、効いているように思える人もいるのです。
ただし、爽快感とか、元気が出るとか、安心できるとか、そういうポジティヴな作用はありません。

例えば、スマートドラッグと呼ばれる頭に良い薬は、アセチルコリンを増やす薬なのですが、逆に強迫性障害に適応の二種のSSRIは、他の新しいSSRIと比較すると、アセチルコリンを減らす作用(抗コリン作用)が強いのです。
頭に良い薬とは逆の薬を使うという意味では、強迫性障害=頭が良いという説は、ある意味では少し当たっているかもしれませんが、アセチルコリンが多いかどうかは不明です。

もちろん、セロトニンが増えることもありますが、アセチルコリンを減らす作用も強迫症状にはプラスになっているのです。

以前書いたように、抗コリン作用には、交感神経を活発にするような面もあり、それが抗うつ効果に繋がりますから、泣き落ち込みなどは減らしますが、攻撃性や敵対心が強まって、イライラしやすくなったり、全身(特に粘膜系)の乾燥作用や便秘なども強まりますので、無理して増やさないほうが身のためです。


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