強迫性障害の全貌

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強迫性障害に抗精神病薬は有効か?

抗精神病薬強迫性障害に適応している薬ではありませんので、健康保険が使えません。
そこで、抗精神病薬を使って治すことになった場合は、強迫性障害だけれど病名を統合失調症とすることで、保険適用で使えるようにはできます。
本当の病名が強迫性障害でも、抗精神病薬を使いたいから、統合失調症として治療する場合もあるのです。
それを普通にしている病院もありますが、強迫性障害としての治験をしていない薬を使うのですから、ある意味、正当な方法ではないし、副作用の心配などもあり、病院によってはそういったことはしないこともあります。

抗精神病薬が強迫に有効というデータもありますが、長期的にどうなのかは不明である場合が多いのです。
一時的に強い鎮静で脳の思考活動などが鈍って、抗精神病薬を飲んでいる間であれば効くけれど、薬を止めたら再発するということもあり得ます。
それでも一時的にでも効けば、強迫性障害に有効という話になっていますので、その辺りを考慮した上で、使用を検討するべきです。
軽症の人でしたら、問題は少ないのですが、重症の場合、長期使用することになったり、特に汚染恐怖などの場合は、一時的に治っても、再発した時には、治っていた間に実際には汚れていたことが分かり、再発後にはかなり汚染が拡散していますから、その対処に耐えられるかなどの心配もあります。

エビリファイは病名がうつ病でも使えますが、妄想などの陽性症状を抑える力がやや弱いとされていますから、強迫観念を抑える力も弱いことが考えられます。
強迫観念は現実と結び付いた反応なので、頭の中だけの妄想よりも消しにくいからです。

逆に、エビリファイ含めた抗精神病薬で、強迫的な症状が出ることがあり、統合失調症の治療中に強迫症状が出るという話もよく聞きます。
強迫症状自体が統合失調症と関連していることも考えられますが、他の原因としては、抗精神病薬には抗セロトニン作動性が強いタイプがあったり、ミクログリアの活性化を抑制する面も関係している可能性はあります。
ミクログリア数が少ないマウスは強迫的毛づくろいをするという研究がありますので、強迫性障害患者はミクログリア数が少なく、もしかすると不活性であることも考えられます。

強迫性障害の患者に妄想的思考のある人は含めないという意見もありますが、強迫観念と妄想的思考ははっきりとは区別できません。
一般的ではない過剰な思いであると分かっていても、結果的に、それに反抗できない、従ってしまうという意味では、多かれ少なかれ、強迫性障害患者は妄想的な拡大解釈をする傾向があるのです。

統合失調症の妄想には特徴があるので、それと強迫症での強迫観念や妄想的思考の区別はつけやすいのですが、強迫性障害の患者には他者から見れば、意味不明な強迫行為を行う人もいて、強迫症のように思えて、統合失調症的な症状でのまとまりのない思考や行為に苦しんでいるという人も、ある程度の割合いるのではと思います。

統合失調症の症状が内面に隠れていて、強迫症状だけ突出しているという場合も、病名的には症状で判断しますので強迫性障害になりますが、その強迫症状は、根本にある統合失調状態が原因ということも考えられます。

非現実的な強い思い込みも妄想と変わりませんから、抗精神病薬で一旦、脳内活動を鎮静させることで、思い込みであったことに気付き、現実への正常な反応を取り戻せるということもあり得ます。

逆に、強迫観念と現実(現実的な恐怖など)の結び付きが強い場合は、抗精神病薬で脳内を鎮静させても、現実を意識できる限りは、強迫観念も消えません。

強迫観念というのは、妄想的思考ではあっても、現実的な自己のイメージですから、思い込みとか妄想での頭の中だけにある恐怖や嫌悪と違って、強迫観念の恐怖や嫌悪などは現実側と繋がっていますから、このタイプには抗精神病薬も効きません。
一時的に思考力や認知力が低下して効いたとしても、現実感を取り戻せば、強迫観念も元通りに表れます。

同じ強迫性障害でもタイプによって、効かない人と効く人の差がありますから、現在のように軽症患者を基準に保険適用薬の治験が行われれば、抗精神病薬よりも比較的安全なSSRIで充分ということになります。

SSRIで不十分な人の増強療法として抗精神病薬を保険適用できるかというと、これも難しそうです。
SSRIが効かないといっても、そこにもやはり色んなタイプの患者がいるのに、同じ1つの強迫性障害という病名になっているからです。
同じ強迫性障害で、抗精神病薬が効く人もいれば、効かない人も多くいるということが分かっていますから、お金と時間をかけてまで治験しようとはしません。

それはそうと、今どき、抗精神病薬というネーミングはどうかと思いませんか?


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