強迫性障害の全貌

強迫性障害の知識の普及 Link Free

強迫性障害はどのように分類すべきか?

大きく分けると、強迫観念主体型と、強迫行為主体型があると、ここでは考えられています。

強迫観念主体型・・・汚染恐怖タイプに多く、恐怖や嫌悪、不安を伴う考えやイメージなどが具体的ではっきりしていて、強迫行為はそれを解消する目的で行われます。

強迫行為=無意味な反復行為、繰り返し行為、みたいに言う人もいますが、強迫観念主体型の場合は、強迫観念が浮かぶ物事が日常的にあるので、強迫行為も日常的に毎日行われるだけであり、強迫観念がなければ、強迫行為もないのです。
しかし、恐怖や嫌悪、不安感などを煽られる物事への過剰警戒心が常にあるため、防御や対策、回避などを含めると、ほぼ1日中強迫症状があります。

なんとなく女性は不潔恐怖という言い方を選ぶ人が多いようですが、汚染恐怖のほうが強迫観念のイメージが時空間的に広範囲に及びます。
汚染というと放射能汚染とかをイメージする人も多いかもしれませんが、そういうのを過剰に怖がるのは一般的にも起こり得ることであり、強迫観念主体型の汚染恐怖の場合は、一般的には汚染されないことでも強い衝撃を受け汚されることが多くなります。

例えば、視覚情報や聴覚情報などでも強迫観念(汚らわしいイメージなど)が自身に付着すれば、その都度、洗浄したり、汚染された物を捨てたりしないといけないので、マスメディア情報や他人の話し声などを拒絶するなど症状が出ます。
そういう一般的には起こりえない症状があってこそ、精神障害なのですが、現実には一般の心配性の人とほとんど変わらない人たちが強迫性障害の多数を占めているので、そこを基準にした治療方法しか保険適用が承認されていないのです。

現在のその治療方法が効かない人は大勢いますから、保険適用薬を増やすべきです。
強迫観念を治す薬は難しくても、

強迫症の易刺激性、過剰警戒心、拒絶/回避症状

その辺りを改善する薬であれば、割と簡単に効果は認められるはずです。
強迫症の診断基準にそういう症状は含まれませんが、実際に多く見られることですから、それだけでも改善できれば、少しは楽になれるのです。


強迫行為主体型・・・強迫行為を繰り返すが、強迫観念が弱い、強迫観念を自覚できない。強迫観念が違和感などの感覚的なタイプ、強迫行為の安心感に依存しているタイプ、完璧主義思考などによる強迫行為様の強いこだわり。

注意したいのは、強迫性パーソナリティ障害と強迫性障害を同一視しないことですが、未だに、同じように扱われていて、強迫性障害の人は完璧主義だからどうのこうの言ってる人もいます。

強迫性パーソナリティ障害は薬がありませんので、いても強迫性障害患者として治療を受けているはずで、その多くは、強迫行為主体型に含められるはずです。

強迫性パーソナリティ障害は完璧主義者タイプで、その柔軟性のなさやこだわりが原因で社会的行動などにマイナス面が増えるのですが、強迫性障害の強迫行為は完璧主義みたいな自発的行為ではありません。

完璧主義であると、「絶対にこうでなくてはならない」「完璧にこうしないといけない」という気持ちが強まり、そういった思考が行動を駆り立てるため、強迫観念が強いわけではありません。

もちろん、不完全な状態や完全な自信を得られない状態は、完璧主義の人に不安を起こしますが、それは完璧主義思考が先手にあってのことですから、強迫観念的な不安ではないのです。
これは依存症なども同じで、快楽への欲求が先手にあって、それが動機になっている場合は、快楽が得られないことで不安が積もっても、強迫観念による強迫行為(防御的行動)とは全然違うわけです。

強迫性パーソナリティ障害の人は、強迫観念は見られないとされていますが、強迫観念自体は、誰でも持ち得るので、神経質で完璧主義の人であれば、一見、普通に強迫性障害に見えるはずです。
逆にある程度のこだわりも誰にでも起こり得ることで、強迫性障害で、強迫性パーソナリティ障害の傾向がある人もいます。

そのタイプの場合は、元々から完璧主義者ですから、強迫症での強迫行為も完璧を求めるようになります。
強迫観念(イメージなど)が弱いことも多いので、例えば、脳内でイメージングされた汚れが本人に付着するから洗わないといけないというよりは、汚れたかもしれないとか、汚れたか汚れてないか分からないなどで不安になりやすく、その中途半端な状態に耐え切れず、心の動揺や不安感を落ち着ける目的で(手だけとかを)洗浄をするのです。
このタイプの強迫行為は、通理が度外視しされていたり、自己中心的基準のこだわりとして行われるので、他人には意味不明で理解が難しいことが多くなります。

こうしなければならない。みたいなこだわりに駆り立てられる状態は、ある意味強迫症状のようにも思えますが、本来の強迫性障害での強迫症状ではありません。
しかし、最近ではそうした傾向が強迫症状であるかのように言わることも増えたようです。
不安障害から独立したのも、(強迫観念の)不安よりも、何度も繰り返ししなければならない(強迫性の)行為が強迫症状の特性として研究されるようになったというのもあります。

やはり、研究する側としては、分かり難い強迫観念がどうというよりも、強迫行為さえ我慢できるようになれば問題ないみたいな傾向があります。
そうなってくると、強迫行為主体型中心の研究になり、そこにはパーソナリティ障害(完璧主義)タイプも含まれるようになり、強迫症はどんどん多様化しているのです。

そのことは誤解に繋がる問題でもあり、強迫性パーソナリティ障害が土台にある人と、強迫性障害の人では、同じような症状に見えても、一方は自発的なこだわりの強さが原因となっていて、一方は、強迫観念を解消するために、こだわりたくなくても(嫌でも)こだわらないといけない状態なのです。

強迫性パーソナリティ障害が土台になっているタイプは、性格や考え方や行動のパターンの問題なのですから、それを修正する訓練が有効です。
ただ、強迫症状を自分の性格、特性と自覚している人も多くて、行為を我慢する素振りが見られにくく、治すことではないと考える人もいるようです。

以前、ネットで、強迫性障害の人が描いた(写真のようにリアルな)絵を見たことがありました。
え?と思って、よく見てみると、やはり、描いた本人の説明には、強迫性パーソナリティ障害であると書かれていました。
それを記事にした人は、強迫性障害と強迫性パーソナリティ障害の区別がつかないわけです。

強迫性障害だと、不合理で役に立たない無駄なことしかできなくなってしまうので、その症状を社会に役立たせることは大変困難です。
もしそれができれば、なんにも問題ないんです。
一方で、完璧主義者の人は、協調性などでマイナス面はあれど、能力次第では、生産的で社会に役立つことも可能なのです。

強迫性パーソナリティ障害の人に、特性だから治さなくていいのではと言うことはできても、本来の強迫性障害の症状は足手まといにしかならないので、ある程度でも改善できないと、人間的な生活ができません。

強迫性障害の治療データ(研究結果)を発表する人は、「強迫性障害患者」だけではピンキリ過ぎるので、どういうタイプの強迫性障害患者をサンプルにしたのかを明記してほしいです。


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