強迫性障害の全貌

強迫性障害の知識の普及 Link Free

思考や記憶のため込み/統合失調症との違いと関連性

強迫症の人には、思考や記憶をため込んでしまう傾向があります。

それ以前に、思考過多がなぜ起こるのですが、強迫性障害だといろんな些細なことが気になって、いろんなことに反応して、余計なこととか、無駄なこととか、頭の中でいろんなことを考えてしまうのです。
過敏性も関係して、一般的には大して大事なことでなくても、大事なことに思えるし、本当は余計な情報でも大事に思えて忘れることが不安になりますので、強迫性障害の人の脳内は、思考のため込み部屋のようになります。
しかも、強迫性障害の人が直感することは、回避的、保守的思考に基づいているので、あまり生産的ではありませんので、思考のゴミ部屋のようでもあります。

思考の整理整頓ができないことで、思考自体のコントロールが困難になって、考えたくなくても、いつも何らかの考えが始まってしまいます。

統合失調症の自生思考に似ていますが、自生思考は、本人の心の中のことだと分かっている段階で、強迫的に浮かぶわけですから、強迫観念と自生思考はほとんど変わりません。
統合失調症の初期症状では、内的イメージであったり、昔の嫌な記憶の想起であったり、内面的な声などが浮かびやすく、知覚過敏、見られている感、緊迫感なども起こりますが、その全ては、強迫性障害でも起こり得ます。

しかし、強迫性障害では、統合失調症の急性期症状(陽性症状)には向かいません。強迫症状がそれをブロックしているからです。
強迫性障害では、頭の中だけが精神病のようにはなりますが、それは内面に抑えられ、表面には出ません。陽性症状にはなりませんが、代わりに強迫症状は出てしまいます。

統合失調症でも初期や治療中などに強迫症状が見られることはあり、統合失調症強迫性障害はある程度の関連性は考えられますが、セルフモニタリングのできるできない、病識のあるなしの違いがあり、強迫性障害の人が陽性症状のように支離滅裂な言動をしたりというのは、ほとんど考えられません。
逆に、統合失調症の人はノイローゼ状態にもなりやすく、急性期にそれが自己の表側に発散されるのです。

強迫性障害(強迫観念主体型)・・・自己モニタリング可能。内面的に病んでも、表面的には、ある程度はまともに振舞える→重症化すると回避が増え、陰性症状のようにも。鬱と関連が強いが、躁状態とは真逆。
統合失調症・・・自己モニタリング不能。内にあるノイローゼ状態の精神が表面化する→狂人化。

強迫性障害(強迫行為主体型)・・・内面的な病みは軽く、依存症的に強迫行為を求めるので、病識が弱く、過剰なことだと気付けない人もいる。躁状態が強迫行為を活発にすることがあるとすれば、こちらのタイプ。

強迫性障害で思考が多くなってしまうのは、かしつ恐怖、そんしつ恐怖があるからというのもあります。
確認強迫や強迫症的ため込み、かがい恐怖なども、かしつ恐怖、そんしつ恐怖が元になっていますが、かしつ恐怖というのは、子供の頃からある人が多く、慣れていないことをやる時などに、過剰に慎重になって時間がかかったりします。
ミスをして、恥ずかしい思いをすれば、それが大人になってからも想起されます。その記憶の想起も強迫観念なのです。

なぜ、記憶がたまってしまうか。
自分の意思では忘れたくても、どうしても忘れられないトラウマ的な記憶が多いと言うのもありますが、忘れてしまったら怖い記憶(例えば汚染源を忘れたら汚染されてしまうなど)も多いからです。
その恐怖や嫌悪感が続く限り、記憶も消えません。

強迫観念以外の思考はセルフコントロールできますが、余計な思考や記憶がそれをし難くしています。
余計な情報を減らせれば、頭の中がコントロールしやすくなり、必然的に有意義な思考と行動ができるようになります。
強迫症状が続くとしても、人生、生き方がいくらか良くなります。

そうは言っても重症の場合、思考のため込み状態の脳を整理整頓するのはかなり長い時間がかかります。

そこで、SSRIを使うわけです。
SSRIにはセロトニンによる抗不安作用があると言われますが、抗コリン作用による認知力、記憶力の低下も強迫症の人には効果的と以前に書きました。

抗コリン作用はアセチルコリンを減らすのですが、スマートドラッグと言われる頭に良い薬は、アセチルコリンを増やす薬です。
認知機能の低下の原因の1つが、アセチルコリンが減ることなので、アセチルコリンを増やせば、頭に良いのではと言う期待があるからです。

強迫症の人はどちらかというと、細かいことによく気が付くとか、記憶を忘れられないという症状に悩むので、抗コリン作用の強い古いタイプのSSRIが適応薬に選ばれています。

強迫性障害の薬は、軽く不安を抑えながら、軽く記憶力や思考活動を弱める薬なのです。
軽症であれば、その程度でも効果は得られることがありますが、抗精神病薬ほどの鎮静作用もなく、恐怖や嫌悪を抑えるほどの力はありませんので、重症だと多くの場合はあまり効きません。
その分、安全なので、悪化を防ぐために長期的に飲むには向いています。

それ以外にも、何か症状を軽くするための工夫がしたいのですが、強迫観念の性質上、それも難しく、治したくてもなかなか治りません。

強迫性障害の人は、違和感に弱い、不快な刺激に弱い、強迫的な事に弱いので、一般の人にとっては些細な事にでも、大きく過剰反応します。
一般的にはあり得ない事が、あり得るように思えたり、現実味が増して感じ、日常の色んなことで強迫観念が浮かびやすく、それを気にしないことがどうしてもできません。
重症の人ほどそういう傾向が強くなり、統合失調症の関係妄想までは行きませんが、強迫症では、強迫的な連想とか関連付きが起こりやすい脳になっているので、本来、まったく関係のない情報も自分と関わりがあるように思えてしまいます。
良いことに嫌なことが結び付きやすくなり、それを避けるための思考面、現実面での強迫行為が活発になり、神経活動がエネルギーを消耗します。
それが汚染恐怖として重症化すると、正常な人間関係がなくなり、ほとんどのことができなくなり、引き篭もりがちになり、人生に対して、自分の存在に対して無力感が増し、セルフネグレストのような状態になります。

強迫観念というのは、普通の思考の嫌な内容のことですが、嫌だからこそ、触れられずに、分離してコントロールできなくなり、自分の意に関わらず浮かんでしまい、簡単には消せません。

意に関わらずに浮かぶ思考なのですが、妄想ではなく、本質的には普通の思考と変わりません。
思考内容を変えるほどの作用はSSRIにはありません。
強い薬で、強迫観念もろとも思考全体を鎮静させれば、それそれで日常生活が困難になりますから、なかなか難しいのです。


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