強迫性障害の全貌

強迫性障害の知識の普及 Link Free

強迫性障害の多様性

一般的な強迫症の説明にあまり書かれてないこととして、下記のようなことがあります。

関連付き(連想)恐怖・・・例えば、Aという繁華街で、Xという嫌な体験をして、その時、どこかからBというバンドのCという曲が聞こえていました。
そうすると、その後、Xという嫌な体験と、Aという繁華街、BというバンドとCという曲が全部関連付いてしまい、Xへの嫌悪感から、A、B、Cに拒絶反応が出るようになり、徹底的に避けるようになります。

PTSDでも、同じようにトラウマ関連の物事を避けるようにはなりますが、強迫性障害では、A、B、Cで汚れてしまうようになります。
つまり、汚染恐怖として、連想恐怖、関連付き恐怖があるのです。
いろんなことでそうなってしまうことが分かっているので、良いことと悪いことが関連付かないように(汚染されないように)回避や対策が多くなります。

汚染恐怖というのは元には不潔恐怖がありますが、一般的な汚れだけでなく、不正な物事など、汚れたイメージのある物事全般に対しての恐怖感や嫌悪感が強くあります。
重症であると、嫌な言葉や文字、嫌な内容の話などを嫌悪して避けますので、その警戒心から、他人の会話やテレビ、新聞、雑誌などに拒絶反応が出るようになります。
悪いことに感化されることを恐れ、嫌悪感の強いことには近付いたり、見聞きしただけでも、その付近や全身が汚れてしまうようになりますので、常に予期不安や警戒心が強く、社会適応が困難になります。

残像恐怖・・・通り道にある動物の死骸があり、驚いてそこを避けて通りました。すると、その後、そこを通る度に、その死骸を残像のように思い出してしまうので、その時と同じように、その場所を避けて通らないといけなくなります。

強迫症だと神経過敏になって違和感などに弱くなります。些細な刺激でも傷付きやすくなっていますので、些細なことも気にせずにはいられません。
特に衝撃の強いこと、嫌悪感の強いこと、そういう強い刺激では、心(脳)が大きなショックやダメージを受けます。
違和感に弱いぐらいですから、嫌な記憶ほど気になって脳内に残りやすく、フラッシュバックのように、それが繰り返し再生されるようになります。
嫌な記憶、嫌のことの残像だけでなく、嫌なこと全般がそうなりますから、頭の中が嫌なことで一杯になり、嫌なことばっかり考え続け、それが止まらないのです。
昔で言うノイローゼですが、うつ症状とも言えます。


強迫症の人は多くの場合、うつ病を併発するのですが、診断基準には、抑うつ症状などは含まれいませんから、元気で気力のある強迫症の人も多いわけです。
強迫症の発症は、思春期から二十代前半が多いと言われていますが、若くて気力があると、強いストレスが続いても、我慢することができてしまいます。
強迫症になりやすい人は、内気で我慢強く、怒りなどのネガティヴな感情を伴う思いなどを自分の内側に閉じ込めてしまいます。
そういった傾向が続くと、心が病んでいったり、おそらく脳にもストレスを与えるのではと思います。

汚染恐怖の場合、~かもしれないという不安ではなく、多くの場合は、実際に汚れてしまうから、その嫌悪感で洗浄せずにいられないのですが、軽症の人の中には、本当は汚れていないのに、という気持ちがありながら、手を洗わずにいられないというタイプもいます。
そんなに汚れていないのに、ということは、汚れへの恐怖感や嫌悪感は少ないわけですが、なぜ洗わないといけないかとういと、基本的に違和感(しっくりこない状態)に弱いからです。

それでついつい洗浄などが増えたり、長くなったりしてしまいます。
違和感が親和感に変われば落ち着きますが、生活していれば、日常の刺激でまた強迫観念が浮かび、強迫行為を繰り返します。

強迫症の人の中には、強迫行為ですっきり感や安心感を得ることへの依存症のような状態になっている人も多くいるのではと思っています。
強迫観念の不快感、恐怖感、嫌悪感などはそんなに強くないのですが、強迫行為をせずにはいられないというのは、強迫行為が主体の強迫症と言えますが、強迫観念がないのではなく、違和感のように感覚的なので分かり難いのです。
このタイプは、心が病んでいるわけでもなく、強迫観念に妄想性があるわけでもないので、一般的な強迫性障害の治療である程度は改善できる可能性があります。

強迫観念の不快感、恐怖感、嫌悪感などが強い場合は、強迫観念が主体の強迫症と言えますが、この場合もやはり、違和感に弱いというのが根本にあるのではと思います。
ただ、この場合は、そんなに汚れていないのに、ではなく、本当に汚れてしまうので、実際に洗うしかなく、強迫観念の不快感に無理やり強迫行為をやらされる感じになりますから、強迫行為依存症のような状態にはなりにくく、むしろ強迫行為にうんざりしていて、不合理感(時間の無駄、非効率)も強く、それをしなくて済むように、回避や防御、対策行為が多くなります。
このタイプは、心が病んでいることも多く、うつ病を併発していたり、強迫観念も妄想的で、社会的ひきこもりになり、難治性になりやすいはずです。


強迫症の間違った説明として下記のようなことがありますが、世間的には強迫症と強迫性パーソナリティー障害がまったく違うことを理解していないようです。

強迫症の人は完璧主義者、完全主義者である。

強迫行為の症状を他人から見ればそう思えるかもしれませんが、完璧主義や完全主義という主義を持っているから、強迫症状が出るわけではありません。
強迫症の人の未熟な生活状況を知れば、完璧にも完全にもなっていないことが分かります。
ただし、強迫性パーソナリティー障害の人であれば、完璧主義者、完全主義者の傾向は多く見られると思います。

強迫症の人は万能感がある。

万能感というのは誇大妄想なので、妄想性障害や統失的陽性症状、躁状態などであればあり得ますが、強迫症では見られません。
ネガティヴなので万能感を恐れているということならありえるかもしれませんが、本当に万能感があれば、むしろ世の中には悪いことはないとか、悪いことは起こらないとか信じ込むので、心配事は少なくなります。
性格的な万能感のことであれば、それは人格障害ですので、やはり強迫症とは関係ありません。
強迫性パーソナリティー障害の人であれば、万能感を持っているかもしれません。

強迫症の人は頭が良い。

頭のいい人は効率良く生活できますが、強迫症の人は不合理なこと、無駄なこと、役に立たないことを毎日繰り返してしまいます。
人が気付かないこと(気にしないほうが良いこと)を気にしたり、想像力が強いというのはありますが、基本的にそれもネガティヴな方向にしか向かいませんので、頭がいいとは言い難いです。
強迫性パーソナリティー障害の人であれば、天才型も多いかもしれません。


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