強迫性障害の全貌

強迫性障害の知識の普及 Link Free

強迫性障害の重症度

強迫性障害は、重症化すると回避や拒絶が増えていきます。

強迫観念が浮かんでしまうような物事、洗浄等の強迫行為をしないといけなくなってしまう物事、そういうことに拒絶反応が強くなります。

強迫観念というのは、基本的に恐怖や不快感、嫌悪の感情を伴う思考、イメージなどですが、そういう記憶の想起なども含みます。
良いイメージなどは、無理やり迫ってくるように思えませんよね?
強迫観念は嫌な内容なので、振り払いたいのですが、拒否反応が強いほど、セルフコントロールが困難になり、自分の意志では消せなくなります。

現実と関係のない強い思い込みとか妄想であれば、薬で脳を鎮静させればなくせるのですが、強迫観念は妄想的であっても現実との結び付きが強い思い(現実に反応した思い)なので、脳活動を沈静化しても現実を変えない限りは、それに反応した強迫観念もまた浮かんでしまいます。

統合失調症の人は、~されていると被害的なことよく言いますが、それは現実世界のことではなく、幻聴や妄想上のことを言っているので、薬で脳を鎮静させれば、現実への正常な反応だけが残ります。

強迫観念は現実と結び付いた思いなので、強迫観念を無くすための現実的な強迫行為(洗浄や確認など)をしなければ解決できません。
トラウマ記憶も現実と結び付いた思いなので、トラウマ記憶を再生してしまうような現実の物事を回避しなければならなくなります。

前に、強迫性障害の人は、違和感に弱くなっていることを説明しましたが、当然、怖いこととか不快なこと強迫的なことほど違和感も強くなり、汚れることとか、不潔なこと、不幸なこと、心が落ち着かない状態に弱くなっています。

確認強迫(繰り返し確認)というのも過失恐怖の不安などが元になっていたり、強迫観念は被害的内容が多いのですが、共通するのは、違和感に弱い、不安な状態に弱いことで、なんとなく違和感が残って、あることを何度もやり直したり、一般的には簡単なことにとても時間がかかったりと様々な症状が出ます。

強迫観念は違和感が強いので、強迫性障害だと当然、強迫観念に弱いのですが、それは、嫌悪や不快感を伴う思いや記憶などが残りやすい(消しにくい、忘れ難い)ということに繋がります。
そうであると過覚醒のように警戒心が常に強くなり、神経が過敏になり、心が傷付くようにことを恐れ、強迫行為、回避、拒絶も増えます。

前回書いたようなトラウマ記憶が強迫観念になっているタイプは、元々、強迫性障害があったので、その体験がトラウマになった可能性が強く、些細なことでも衝撃が強く傷付いてしまうので、そのトラウマ体験に関連することや、それに近い物事に拒絶反応(防御反応)が出るようになっています。

おそらく、軽症の人には、洗浄や確認などで安心することへの依存症のような状態の人も含まれていると思いますが、通常、そういった強迫行為は強迫観念をなくすために嫌々している(したくなくてもしなければならない)場合が多く、何年も何十年も強迫観念に悩まされている重症の人は、強迫行為にうんざりしているので、できるだけそうしなくて済むように、回避が多くなります。

強迫性障害の中で一番重症化しやすいのが、汚染恐怖(洗浄強迫)の強いタイプで、汚れを避ければ、生活は引き篭もりがちになります。
洗濯するのに時間がかかり、うんざりしてしまうと、強く汚れた物は洗うのではなく、切り取ったり、丸ごと捨ててしまうようになります。
強迫症の汚れは、見えない汚れであったり、本人にしか分からない汚れが多いので、付き添いがいると、その人から汚染されてしまうので、他の精神障害と違い、重症になってできないことが増えても、接触(汚染)拒絶で、直接的な援助が受けられないのです。
人間関係がなくなり、友達も家族もいなくなり、最終的には人知れず孤独死する可能性もあります。

強迫性障害の説明で一般的なのは、昔は難治性でしたが、適切な治療で改善できるようになりました。というのが多いのですが、使える薬は変わっていませんし、今でもほとんどの人にその薬が効き難く、行動療法も軽症患者にしか取り組めませんから、難治性であることに変わりありません。

森田療法のマネをして、本などを売ったり、強迫性障害で保険適応外のビジネスをしている人達にとっては、強迫性障害が治せるようになったということにしたほうが都合が良いのですが、そういう類の現場では、サクラを使っていたり、ネットでもステマが多く見られます。

強迫性障害というのは、一般的に知られている症状だけでなく、その患者の内面には統合失調症様の精神病状態が隠れています。
その内面狂気と、表向きの正気が葛藤している病気が、強迫性障害です。
その狂気というのは、人前ではほとんど現れませんが、目を閉じた時、一人の時、もしくは、よっぽど親しい人の前では、現れたり、現れそうになったりします。

強迫性障害の症状は、人には安全というのが一般的な考えですが、強迫観念が強く、しかも、それを消すための強迫行為を邪魔されている状態であると、必ずしも安全だとは言えません。

本人は、そうならないように必死で抑えているので、強迫性障害という症状しか表向きは分かりませんが、重症の人ほど、深刻な精神病状態(病んだ心)が内面にあり、葛藤も強くなっています。
それで、強迫観念も妄想に近くなっているのですが、それでも統合失調症的な妄想ではないので薬は効きません。
統合失調症的な妄想というのは、実際に精神が病んでいるのではなく、脳機能の異常で表れるのですが、強迫性障害の人は、実際に精神が病んでいるので、妄想様の強迫観念が浮かびやすいのです。
そして、脳には薬は効きやすいが、精神(心)には効き難いのです。

それを昔は神経症(ノイローゼ)といったのですが、神経症という言葉がなぜ使われなくなったかと言うと、精神病よりも軽いと思われていた神経症圏内にも、精神病状態であったり、統合失調症よりも複雑で深刻な障害になっている場合が見られるからです。
その代表が強迫性障害PTSDで、これが重症化していると、統合失調症以上に治し難く、生活の質も低く、その症状は生きる上での大きな障害になります。

今も昔も治す術はなく、医療大麻なども体の痛み止めには使えますが、心の痛みには使えませんので、苦しみを和らげるには、回避的に生きるしかありませんが、心の内面に闇(病み)があると、そういう生き方もやはり苦しいのです。

まずは、強迫性障害は複雑で何をしようとほとんど治せない障害で、サポートが無いと生きられない深刻な病気であることを自覚してください。
それは患者だけでなく、社会的にも理解してもらわないといけないので、強迫性障害は治せるような説明を広めないようにしてください。

実際に有効な治療方法は今もありませんが、重症の人にも、それはそれで悪化を防いだり、生活の質を下げないための適切な治療や援助がありますから、最低限、そういうサポートを継続的に受けられるようにしてください。
それがベースにあれば、まったく孤独に生きるよりもできることが増えるはずです。


次回以降に、強迫性障害の人間関係や正しい接し方などを書きます。
身の周りに強迫性障害の人がいて、どう対応して良いか分からないとか、強迫性障害の症状があって、一般の人にうまく接することができないという人は、読みに来てください。


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