強迫性障害の全貌

強迫性障害の知識の普及 Link Free

なぜ強迫性障害は治せないのか

強迫性障害は昔は治せなかったが、最近は薬や認知行動療法で改善可能になったかのように書いてあることが多いのですが、薬も何年も変わってませんし、認知行動療法も昔からあるし言うほど普及していません。
抗精神病薬が効くという話もありますが、強迫性障害抗精神病薬は保険で適応できません。

認知行動療法というのは、合気道のようなもので、行動療法に協力的になれる人ほど、効果が得られます。
これで治りやすいタイプの人は、強迫的な観念とか恐怖感よりも、自分の意志(思い込み)で強迫行為を行っている割合が強く、元々、本人が治そうと思えば治せるレベルの状態にあるのです。
心配性レベルの強迫観念は、架空の不安なので、他の人から安心させられれば安心するし、怖がりな人は、付き添いの人がいるだけでも予期不安や強迫行為が軽症化します。
このタイプは、人との同居もなんとか可能で、むしろ誰かがいないと寂しがります。

強迫観念への恐怖、拒絶感が強い人は、治そうと思っても治せませんし、行動療法を行う場所に行くことさえ困難なので、参加できません。
自分の意志よりも強迫観念がはるかに強く、それに反抗する気力もなくなっています。
リアルな強迫観念が支配するので、他の人が安心させようとしても、本人の強迫観念は変わりませんし、付き添いがいれば、むしろ付き添いの人の分も汚染の拡散などが気になって、心身を消耗します。
このタイプは、誰とも共同生活できませんので、できることも少なく、引きこもりがちになれば、廃人のようになります。
そうなった場合の強迫症状はどうしようと不可逆です(治った人がいない)ので、強迫の周りにあるうつ症状などを薬で治して、強迫を抱えたまま生活の質を上げる生き方を考えます。
なので、強迫が治らなくても、治療は継続するべきです。

脳内での強迫性障害の原因は解明されていませんので、有効な薬もありません。
セロトニン仮説はありますが、重度の強迫性障害患者は、脳の検査なども拒絶してしまうので、本当の強迫性障害の人の脳内はいまも未知であり、心配性の人や神経質な人のセロトニンはどうなのかとか、そういう研究もないレベルの話です。

最近は、強迫性障害やその体験談を売りにした本とかが増えましたが、重度の強迫性障害患者は、汚染を恐れて出版社などにも行けませんし、そういう人との関わりもまともにできません。
ビジネス(人寄せ)でおもしろ半分で書いた情報は、参考にはなりませんし、多くは真に苦しんでいる患者をバカにしているようにも思えます。

強迫性障害というのは、重い人だと情報拒絶で本も読めないし、汚染恐怖で触れないのです。