強迫性障害の全貌

強迫性障害の知識の普及 Link Free

汚染強迫観念

強迫性障害の人は、違和感や不安感などに過剰反応します。

汚れることで病気になってしまうという不安から汚れを避ける場合もありますが、汚れること自体に嫌悪感が強いので、汚れに対して過敏になります。

一般の人でも汚れることは嫌なことですが、その何倍も不快感を感じるのです。

警戒心から異常に観察力や洞察力が強くなり、頭の中で汚れを視覚化して追跡し続けます。

男性のほうが立体思考を持ちやすいので、その傾向は強くなります。

汚染の強迫観念が強いと、公共の場の物に触れないのはもちろんですが、例えば、手帳とか本とか紙の物など、洗ったり除菌シートで拭いたりできない物は、何であれ継続使用が困難になります。
人との共同生活ができなくなり、家族や恋人などとも接触できずに、一人暮らししかできなくなります。
もちろん、友達付き合いや結婚などもできません。

汚染の恐怖を感じる建物や汚染地域(汚いと思っている区域)に入れなかったりしたり、電車やバス、タクシーなどにも乗れなくなります。
大きな病院に近づけなかったり、血液検査なども困難になり、病気になっても適切な治療が受けられません。

重症なほど、普通の人なら汚れないことでも汚れてしまうようになり、例えば、不快な文字や文章、言葉、写真といった視覚や聴覚情報でも汚れてしまうと、本屋やコンビニなどにも入れませんし、情報回避でテレビや雑誌なども見れなくなり、人の話し声なども回避するようになります。


昔は強迫性障害は難治でしたが、今は適切な治療を受ければ治りますという話は、軽症な場合という意味であり、何十年も有効な薬は出ていません。
認知行動療法なども確認強迫のみなどの単純な症状や、軽症な人なら取り組めますが、治療を受けるというのも社会活動であり、社会適応できない重症の人は、そういう場所に行くことさえできませんし、治すと汚れてしまうのが分かっていますから、その恐怖感で取り組んでも治せません。

強迫性障害が治りましたという話も軽症の人であって、それ以外は、治りましたという話で、テキストなどの教材を売りつけようとしているとか、広告収入目当てのブログの客寄せもあります。
森田療法のビジネス手口をマネして、強迫性障害が何たるかを説明して、興味を引き、本を売ったり、自費での行動療法を受けてもらおうとする宣伝もありますから、よく見極めてください。

治らなくて困っているという話であれば、それはリアルな情報です。

重症の人は、社会活動以前に、通常の日常生活もできません。
本当に重い強迫性障害の人は、うつ症状や妄想様の強迫観念があるので、社会の表舞台には出られません。
うつ症状は抗うつ薬と休養である程度は改善できるし、突飛な妄想であれば抗精神病薬が効きやすいのですが、いまだに妄想様の観念や強迫観念を治せる薬はありません。


もちろん、ケタミンのような麻酔薬や麻薬なら恐怖感がなくなって効くことは考えられますが、乱用や依存性の問題から、日本で薬として許可されることは今後もあり得ません。
麻酔薬や麻薬を改良した薬ができれば、もしかすると使えるかもしれませんが、乱用や依存性の問題をなくした薬というのは、その分、幸福感や気分の高揚などは得られないというわけですから、恐怖や強迫、うつ症状などを消す力も弱まります。
そうすると大量に飲もうとする人が現れますから、やはり日本では厳重な管理下にある入院患者でない限り難しいことだと考えられます。

重症の強迫性障害の人は、入院などは汚染恐怖でできませんから、そういう薬に期待するのではなく、生き方を工夫することを考えるべきで、どうすれば最善かを今後、提案します。