強迫性障害の全貌

強迫性障害の知識の普及 Link Free

強迫性障害と発達障害

発達障害の人は、強迫性障害になりやすい傾向があるようです。

強迫観念が消えないというは、どちらかというと現代では脳機能方面からしか研究されていませんが、強迫性障害の発症にはストレスが無関係ではないと思っています。
ストレスは脳機能にダメージを与えないという考えもありますが、心の傷と言われるトラウマが脳にダメージを与えることが分かっているし、はっきりしたストレスが続き、うつ病になった人も多くいます。

発達障害は、解明されているわけではありませんが、生れ付き(幼少期から)だから心の問題ではなく、脳機能の問題に違いないという感じです。
強迫性障害の人に発達障害が多いとしたら、生まれ付き脳機能的に弱い部分があり、それに思春期の頃などのストレスなどが重なって、強迫性障害を発症するのではとも考えられます。

ただ、強迫性障害と言ってもいろんなタイプがありますから、みんながみんなそうとも限りませんし、何らかの原因で脳機能的な異常が生じるだけなのかもしれません。
その異常が起こると、どこにでもある些細なことにまで大きなストレスを感じるようになり、発症した頃に特に記憶に残った不快な体験が原因のように思えるだけで、実際はストレスとかに関係なく発症している可能性もあります。
発症したからこそ、大きなストレス体験に思えるだけで、その体験自体は、不快な物事であれど、ありがちな出来事なのです。

だとしたら、もし発達障害的に生まれ付きのストレス耐性の低さが原因であっても、その不快な体験で発症しなくても、後々なんらかのストレス体験で必ず発症しているはずで、その場合、ひきこもっていようが、恵まれた環境にいようが、発症は避けられなかったと考えられます。
また、そう考えることで、こだわりの原因になっているトラウマ体験の記憶を少しは弱められるかもしれません。

強迫性障害の人に多い特徴として、感覚過敏、ストレス耐性の低さ、こだわり、パターン化、衝動性、注意散漫などがありますが、発達障害で言うと特にADHD強迫性障害の症状が重なっていることが多いようです。
今のところ、発達障害の中で適応薬があるのはADHDだけなので、ADHDの病名は付けやすいという面もあります。

ADHDというのは、発達障害の一面に過ぎないと考えていますが、注意力がなかったり、多動であったりの症状があり、強迫性障害では、身の周りの刺激への警戒心の強さや、神経過敏的な防御や回避によって多動になりますが、発達障害もある人は、安心できる状況でもなぜかソワソワしてじっとしていられないというADHD的な多動も重なっている感じになります。

また、繰り返し確認の症状などは、強迫観念が強すぎて、記憶を曖昧にしてしまうとか、強迫観念が消えるまで確認しないと気が済まないというのが自覚できる動機ではあるのですが、ADHDで注意力がなくミスが多いことが、過剰な心配や不安を生じ、余計に注意してしまうのではないかという考えもあります。
発達障害があると、何かしながらボーっとしたり、全然関係ないことを思い浮かべたり、そういうことでミスが増える面もあれば、1つのことに注意しつつも、身の周りのことにも気が散って、その注意が散漫してしまうという面もあります。

強迫性障害の人は、内向的ではあるのですが、自閉というわけではなく、心の世界を意識しつつも、常に外界に意識が向けられていて、心の中のイメージなどと、外界の現実を同じようにとらえている傾向があります。
1つの情報を選択することはできるのですが、発達障害的に、その周りの複数の情報も全部受け取ってしまいます。

強迫性障害発達障害が重なっていると、そのような二面性が強くなり、人の気持ちや周りの空気を読めているようで、実は勘違いで浮いていたりもするのです。

ADHDの薬は、コンサータはよく分かりませんが、その他の薬であれば、無意味な多動が抑えられるなどの効果が得られることは期待できます。
注意力は特に上がらないかもしれないし、強迫性障害自体にはまったく効きませんが、落ち着くことで集中力が上がれば、その分、無駄な時間が減ったり、生活しやすくできる可能性はあります。