強迫性障害の全貌

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強迫性障害を治すと統合失調症になってしまうという話は本当か?

統合失調症の発症前や治療中に、強迫症状が見られることから、昔から、強迫性障害統合失調症を防ぐという考えがありますが、実際には、統合失調症強迫性障害を防ぐ形になっています。

統合失調症は昔はストレスに関係なく発症すると言われていましたが、何割かの人は、ストレスがきっかけで発症したり、ストレスで再発することが知られています。
器質的にストレスに弱い人は、普通は強迫性障害になりますが、統合失調症になりやすい脳の人は、強迫性障害にはならずに、統合失調症になります。

統合失調症強迫症を防ぐ症状として出るのであれば、強迫性障害になり難い脳の人は、統合失調症にもなり難い脳であると言えます。
ですから、強迫症でない、不安症、恐怖症、PTSDうつ病などから、いきなり統合失調症に移行することはほとんどないのです。
とりあえず、それらの強迫性が強くなって、強迫症状がある程度続いてから、その慢性化(強迫性障害の発症)を避けるように、統合失調症を発症するのです。
統合失調症を発症しないタイプの脳の人は、そのまま強迫性障害を発症して、その後、ずっと強迫状態が続きます。

土台に強迫症のある統合失調症の人の場合、強迫症を防ぐために、統合失調症が強固になりやすく、その統合失調症を治療すると、強迫症状が出るようになります。
ただ、抗精神病薬は症状を抑えますが、基本的に統合失調症になりやすい脳であることは変えられませんので、あくまで統合失調症の人は、ずっと統合失調症であり、ある程度治しても、(ストレスに弱いタイプの脳の人は)強迫性障害を防ごうと、またストレスがきっかけとなって、統合失調症を再発しやすくなります。

統合失調症の人は、強迫性障害になり難いのですが、統合失調症にはなっているのですから、強迫性障害になり難い脳であるとも限りません。
一部の人は、やや強迫性障害になりやすい脳ではあるが、その上、統合失調症になりやすい脳であるから、やや強迫性障害になりやすい(ややストレスに弱い)脳なのに、結果的に強迫性障害になり難い脳(ストレスを回避できる脳)になって、強迫性障害にはならないということです。

統合失調症の症状自体が、現実のストレスに対する強迫行為的な回避症状(極端な現実逃避)ですので、その症状が出ていることで強迫観念を解消しやすく、強迫行為をしなくても済むのです。

強迫性障害にならないという意味では、実際には強迫性障害とは、ほぼ無関係とも言えますが、その無関係の関係によって、結果的に統合失調症強迫症を防ぐ形にはなっているのです。

強迫性障害を防ぐのが統合失調症と考えれば、強迫性障害を治せば、統合失調症にもならないし、そもそも統合失調症にならなかったから(ならない脳だから)、強迫性障害になっているのですから、強迫性障害を治すと統合失調症になってしまうと言うよりは、統合失調症を器質的に(脳レベルで)治すと(ストレスに弱いタイプの脳の人は)強迫性障害になりやすいと考えられます。

強迫性障害(強迫行為主体型は除く)と統合失調症はそのような関連性はあるのですが、症状自体は全然違いますから、同じ病気ではありません。

強迫観念は現実反応の思考ですから、それを現実的だと思うことは妄想ではありません。

対象のある不安→恐怖

強迫観念グループ
その対象が現実にある(まだ起こっていない未来的なことであっても、現実との結び付きが強い)→強迫観念
その対象が非現実的(ほとんどありえないこと)だと本人が分かっているが、それにとらわれてしまう→不安型強迫観念
その対象が現実にあり、それに対する思いが過敏性により一般的ではないが現実との結び付きが強い→妄想様強迫観念(一般的でない思考という意味での妄想)

妄想グループ
その対象が非現実にある(現実とは無関係)→妄想(一次妄想)
その対象が非現実(現実とは無関係)だと本人が分かっているが、それにとらわれてしまう→二重見当識妄想

混合グループ
その対象が現実にあるが、それに対する思いが非現実(間違った思いの現実へのこじつけ)→二次妄想
その対象が現実にあり、それに対する思いが非現実(現実にはありえない)と本人が分かっているが、それにとらわれて強迫行為をする(二次妄想での強迫症状)→強迫観念様妄想

この中で他者に対して一番危険なのは、確信性の強い二次妄想の人で、統合失調症双極性障害麻薬中毒者に多いです。
統合失調症の妄想は本来は一次妄想なのですが、実際には二次妄想の人も統合失調症に含まれています。

強迫行為をする人は、危険回避的な行動が活発になりますから、強迫観念様妄想であれば比較的に他者には安全です。

しかし非現実の思考だと分かっていて強迫行為をする人には、二重見当識妄想に近い人、強迫観念様妄想の人(二次妄想の人)もいますから、不安型強迫観念の人との区別がし難いです。
ですから、強迫症だとされている人にも実は妄想状態に近い人もいるし、統合失調症とされている人にも実は強迫症(妄想ではなく強迫観念)の人が何割かいるのです。

基本的に非現実の思考=妄想であれば、元々から現実には問題がありませんから、抗精神病薬でその思考さえ鎮静すれば、(陰性症状は治し難いですが)その思考自体による問題は特に残りません。

強迫観念様妄想の場合・・・非現実的思考であっても、それが自分だけの思いで、他の人はそう思わないと分かっている。
二次妄想の場合・・・自分だけの(実際には非現実の)思いを現実のことだと確信している(非現実的だと思ってない)。
という違いはあります。

何にしても非現実の思考にとらわれているのであれば、抗精神病薬が効きやすい可能性はありますが、その非現実の思考を一時的に鎮静させても、説得して内容を修正できなければ、元に戻ることもあります。

通常、非現実的なことでも「現実的に思えてしまう」のが強迫観念なのですが、強迫観念様妄想の人は現実ではない(非現実である)としか思えないのに、強迫行為をしてしまうのです。
ですから、このタイプは強迫行為に意味はなく、かなり不合理で無意味でバカバカしく思えます。
ただ、強迫行為(欲求、願望、衝動などによる行為)自体にとらわれている人(強迫行為主体型)は、強迫観念がなかったり、強迫観念の苦痛が弱い場合もありますから、なぜ強迫行為をしてしまうのか分かってない人もいます。
ですから、無意味でバカバカしく思えるから、強迫観念様妄想ということでもありません。

妄想様強迫観念も、妄想的ではありますが、本人が「自分だけがそう思える」(他の人はそう思わない)ことが分かっているし、妄想ではなく、神経過敏反応で一般的ではない強迫観念が浮かぶのです。
あくまで強迫観念であり、器質的な感覚過敏、神経過敏症状で感覚や思考内容が一般離れしているだけで、誤認識ではありませんし、認知に問題はありません。
本人の感覚では実際のことですから、抗精神病薬では治りません。
妄想様強迫観念としての表象幻覚も、現実と重なって強迫観念としてのイメージが強迫的に浮かぶだけですから、幻覚ではありませんので抗精神病薬は無意味です。

基本的に、強迫観念は現実のストレスへの拒絶反応で浮かびますから、現実との結び付きは強く、妄想のような非現実の思考ではありません。
薬を使っても、現実が意識できる限り、条件反射的に強迫観念も浮かんでしまいます。

条件反射は良い反射であれば、それを悪い反射に書き換えることは比較的簡単ですが、生理反応的な悪い反射を良い反射に書き換えることは困難です。

普通の人の恐怖などであれば解除できることもありますが、強迫症の人の場合、不安、恐怖、嫌悪などの同一の思いが、何年、何十年と、何度も何度も頭の中で繰り返されるので、現実のストレス対象への条件付きが解除できません。

しかも強迫症の場合、過敏であるから普通ではない過剰反応が起こるだけで、本人の感覚では、実際に不安や恐怖、嫌悪などを浮かばせる現実に対して、不安や恐怖、嫌悪などが浮かぶのですから、実際には問題ないことに恐怖しているわけではなく、普通の人が毛虫を嫌がることと同じですから、仕方がないことです。

妄想の場合は、実際には問題ないことに恐怖しているので、強迫観念とはまったく違う状態なのですが、その中間のような状態の人も何割か存在し、強迫症だとされているが実は妄想状態に近い人の場合、抗精神病薬が効くし、逆に統合失調症とされている強迫症の人は、抗精神病薬でもなかなか治りません。

統合失調症(非現実への不安思考も含む)・・・抗精神病薬で治しやすい
強迫症(過敏性による現実反応の妄想的思考も含む)・・・抗精神病薬では治せない

という違いがありますから、どちらか分からない時に抗精神病薬を試してみることがあります。
ただ、効かないのに長々と使うのは良くありません。
SSRIであれば、長々と使っていても、そんなには問題ありませんから、強迫症には基本的にSSRIが使われるのです。
それが効くというよりは、長期使用しても抗精神病薬よりは安全だからです。

治らない病気の場合、悪化を防ぐことが大事で、薬も長期的に飲むことになります。
できるだけ安全な薬のほうが精神的にも安心できます。
薬自体の効果よりも、強迫症の人には、そういう安心感のほうが大事なのです。

そうしながら、ストレスの少ない生活ができるようにする感じです。


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