強迫性障害の全貌

強迫性障害の知識の普及 Link Free

強迫症の人との同居/巻き込みでは悪化しない

このブログを立ち上げたきっかけは、ネットや本には強迫性障害の間違った説明が多いからです。
完璧主義なのでやりすぎてしまうとか、加減が分からなくなってしまうとか、人を巻き込むと症状が悪化するというのです。
心の中の強迫観念は他人には分からないので、強迫行為は無意味に同じことを繰り返しているように見えるそうです。

強迫性障害の人は、強迫行為が過剰であることも分かっているし、どうすれば生産的で効率が良いかも分かっています。
明らかに非効率で時間の無駄で非生産的であることが分かってはいても、強迫観念の不快感が消えるまでは、強迫行為を続けるしかありません。

強迫観念は現実と結び付いていますから、突き刺さったトゲを抜くことと同様で、実際の痛み苦しみに対処しようとしているだけです。

強迫症で言う強迫は、しなければいけないとかの無意味な強いこだわりを持つことではなく、強迫的なことにダメージを受け易いという意味で、簡単に言うと強迫的なことに弱いのです。
それから身を守るために、結果的に、しなければならないことが増え、強くこだわっているように見えるのです。
自分の意志でこだわる完璧主義などとは関係なく、避けられない生理的反応なのです。

人を巻き込むと症状が悪化するか?

実際に多くの重症患者は何十年も一人暮らしで、巻き込んで迷惑をかけないように、人に関わることをほとんど避けていますが、それで重症の症状が変わることはありません。

人を巻き込むと症状が悪化するのではなく、巻き込みが強まると、他人には強迫症状が悪化したように見えるだけです。
通常、強迫行為はできるだけ人前では隠そうとするのですが、親しい関係だと段々と隠すことができなくなり、同居などしていれば、そうしたくなくても巻き込まずにはいられなくなります。
強迫観念は患者個人の頭の中にしかなく、その思いは現実の生活と結び付いているので、当然、人との共同生活や集団行動などが難しくなります。

確かに巻き込み行為自体は段々悪化していくのですが、それは元々の強迫症状が人前で出始めただけであって、巻き込みをしなくても、一人でいればそれと同じ症状、もしくは、それ以上の強迫症状が出るのです。
巻き込み=人前で症状が出ているだけであって、もしその人が一人暮らしを始めても、人前での症状が見られなくなっただけで、強迫症状自体は変わらないわけです。

なので、巻き込みという行為が悪化するから、(家族が患者の苦しみに巻き込まれないように)協力しないようにするという説明ならいいのですが、そのことと患者本人の強迫症状による苦しみとか不自由とは関係が無いというか、多くの場合は、強迫症状による苦しみが家族によって増やされるのが嫌で、家族に対して支配的になってしまうのです。
患者が家族を巻き込まないようにすると、患者本人のストレスは多くなり、家族に精神も生活も乱されてしまうのです。

患者ではなく、あくまで家族(同居人)のために巻き込まれないようにするというのも、症状への理解なく、単にめんどうだからというだけでは、おそらく衝突が増えるだけです。
強迫症の人は、一見して普通に見えても、内面は人として全然違いますから、もし家族などの同居人が重症の強迫症なら、一人暮らしをすすめるのが良いのです。
年齢が若かったり、女性で孤立することが心配という場合は、家族が症状への理解を示し、無駄で非効率に思えても、ある程度は付き合うしかありません。
ただし、重症の精神障害者の世話をするのは、普通の人には大変なことですから、何が苦痛でどこまでどうすればいいかなどを話し合ったほうが平和的です。
それでも、意見の衝突や口論が増えたり、家族が精神的に滅入ってしまうようでしたら、時期を見て別居するしかありません。
経済的に苦しい場合は、公の福祉制度などもご検討ください。

同じように、強迫行為を繰り返すほど、症状が悪化するという説明も適切ではないというか、そんなことを言っても意味がありません。
うつ病の人に、怠けるなと言ってもテキパキと動くことが難しいように、強迫行為をしないほうがいいと言っても、患者にとっては、そうするしか解消方法がないからです。
細かいことは気にするなと言っても、気になってしまう病気なので、できないのです。

強迫観念自体はほとんど誰でも浮かぶのですが、強迫症だとそれがなかなか消えないし、普通の人よりも不快感、恐怖感、嫌悪感を強く感じてしまうのです。
それで気になって何回も何回も浮かんでしまうのですが、根本的には、神経過敏でストレス耐性が低く、違和感に弱いので、当然、強くて不快な刺激ほど痛みも大きく感じます。
気にしないほうが効率が良いことも当然分かっているので、気にしないことができるなら、実際にそうするわけですが、それができないことのほうが普通の人よりも多いわけです。

周りの人と感覚も考えも現実への認識も違うのに、その一般社会に適応しようとすれば、苦しみ悩み、うつ病になり、精神病的症状も悪化します。
重症の強迫症は社会的には不可逆の障害であり、治らなくて当然なので、一般社会にあまり関わらないように、距離を置いて生きるしかありません。

強迫症での自殺を防ぐには?

ここから下に強迫症患者の自殺などの話が書いてありますので、苦手な人は読まないでください。

 

 

 

強迫症で生きる苦しみが強迫観念だとしたら、その強迫行為は生きることを断つことです。
前に書きましたが、アメリカで、長年の強迫症の双子の姉妹が自殺した例もあるし、日本でも強迫症の娘の症状に15年以上付き添い続けた母親が、最後には、娘の死にたいという願いにまで協力してしまった実例もあります。
一人で自殺したり孤独死している患者は報道もされないでしょうが。

強迫症の症状をジョークのように扱ったり、バカバカしいことをしているという人もいますが、重症の強迫症はそういうレベルではない、深刻な病気ということを世間に知ってほしいです。

もし前向きな言葉とか、自分の意志とか心掛けで治せるようなら、誰だってそうして治っているのですが、多くの場合、そんなことでは治せないのが事実です。


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