強迫性障害の全貌

強迫性障害の知識の普及 Link Free

強迫性障害のタイプ別治療法

強迫性障害の特効薬とかは、今後も発売されません。
強迫観念を抑えると言うことは、不安や恐怖、嫌悪なども弱まり、ハッピーな気分になり、パフォーマンスも向上します。
そういう薬は、今でもあることはあるのですが、いろんな人が求めて、乱用される危険があるからです。
程度の弱い薬を作っても大量に飲む人が出ますから、増量しても効果が増えない薬を開発できれば良いのですが、それは効果が弱い薬でもあり、強迫性障害を治せるほどの物にはなりません。

強迫観念というのは、妄想と違って、現実反応の思考ですから、麻酔薬などで一時的に鎮静させても、現実が意識できるようになれば、強迫観念も意識できるようになります。
常時使えば、生活が困難になり、これも使えません。

抗精神病薬でも同じ事で、非現実反応の思考には効いても、現実反応の思考には使えません。

認知行動療法(曝露反応妨害)は健康人に近い人向けで、病気範囲の人はストレス耐性が低いので、取り組めませんし、無理に取り組んだとしてもトラウマになって、逆に悪化するだけです。

不安や恐怖、嫌悪などはある程度はあるのが健全であり、その他の治療方法もそれを適度に調節することが難しいので、今のところ強迫性障害の適切な治療方法はありません。

それ以前に、強迫性障害がどんな病気なのかも周知されていません。
どんな病気なのか分からずに、何を治せると言うのでしょう。
どのタイプの強迫性障害かを明確にしてから、治療法を選択するべきです。

強迫性障害の人は、神経過敏症状により、頭の中の不快な情報をうまく処理できませんので、その情報と結び付いている気分や感情などにも振り回されることになります。
不快な情報は強いストレスがありますから、過敏でストレスに弱いと、それをうまく処理できずに、頭の中に残ってしまうし、体中の感覚がそれを受け取り続けてしまいます。

恐怖症や不安症と違い、強迫観念化した恐怖や不安をともなう思考は、ストレス対象から離れて時間が経っても、慢性的、反復的に持続します。
嫌なことから離れても、心への感覚が過敏になっていることで、その嫌なことに対する思い、その記憶、それに対する感情などに反応し続けてしまいます。
そうすると、そのストレス対象だけでなく、それに関連すること、似たようなこと(似たような不快な刺激)にも過剰な拒絶反応が出るようになります。

特定の汚れに不快感や嫌悪感の強い人は、その汚れを想起させることとか、似たような関連性のあることにも条件反射的に不快感や嫌悪感が強まり、それに対する拒絶反応として強迫症状が出ます。
条件反射の条件(強迫症状を引き起こす物事)がどんどん増えていくことになります。

神経過敏な人は、一般的には些細なミスにも大きく動揺したりショックを受けます。
そうすると頭の中にその記憶が残り続けます。
本来ならそういう記憶は一旦忘れてしまっても必要な時にだけ思い出されるのですが、強迫性障害の人は、頭の中にその情報が残り続けて、年がら年中いろんなことに注意するようになります。
ですから、AD/HD+HSC・HSPのような人は、ミスが多く傷付くことも多いので、それを防ぎたい気持ちにより、警戒心や注意が過剰になって、強迫症状が悪化しやすいのです。

AD/HDの症状に部屋などの整理整頓が困難というのがありますが、その上、強迫性障害の人は、頭の中の情報や記憶の整理整頓や掃除が困難になっていますから、不快な思考、感情、気分、記憶などのため込まれた汚部屋のような脳内になります。
そうなってしまうので、余計に情報の整理整頓ができなくなって、ポジティヴな考え方ができなくなり、ネガティヴ思考が増えます。
結果、強迫性障害の人は、大抵の場合、うつ病にもなります。

頭の中の整理が困難と言っても、強迫性障害の人の考えることは、一般的ではなくても、現実的なことであり、筋は通っています。
統合失調症のように支離滅裂な思考になったり、筋の通ってない考えを持つわけではありません。
統合失調症はその病気であるとことが、見れば分かる場合も多く、少し話せば、すぐに分かるぐらい症状が表面化します。
一方で、強迫性障害は基本的には内面のみに抑え込まれた精神症状が多く、強迫行為も通常は他人の前では恥ずかしくてしませんから、その病気であるとことが、見ただけでは分かり難い場合が多く、どういう症状が出ているのかを人に話さない限り、他人にはほとんど分かりません。
そういうはっきりした違いがありますから、見分けることは簡単です。

強迫行為を隠そうとせず、他人の前でも恥ずかしがらずに、バンバンできるという人は、強迫症状よりも、他人を気にしないことのほうに問題があるとも考えられますが、強迫行為主体型にはそういう傾向が強い人も多いです。
強迫症状にとらわれ過ぎてそうなっているのかもしれないし、自閉傾向があったり、精神病に近い病状になっていたりする可能性もあります。

同じように、観念主体の人で、妄想ではなくても、妄想に近い(一般離れした)強迫観念がある場合とか、接触拒絶などが激しかったり、ほとんど人と関われないような孤立状態であると、強迫性障害ではあっても、精神病に近い病状になっていると考えられます。
ただ、統合失調症ではなく、精神病様の強迫性障害という意味であり、その場合も、強迫性障害として治療することには変わりません。

強迫性障害の場合、重症になってしまうと病院という場所に行くことさえ困難になってしまい、そういうレベルの人が、なんとか治療を受けたとしてもほとんど治りません。
ですから、軽症だから病院に行くほどではないと考えるのは間違いで、軽症段階だからこそ病院に行くこともできるし、治せる可能性もあるのです。

強迫性障害は本当は多種多様で様々な症状が出るのですが、それらを省略して、診断基準が非常に軽い内容になっているのも、軽症段階で治療をしないと治せないからです。
逆に重症の人のことは、いても、いないかのようになっていて、あきらめているのです。

重症患者の場合、大抵は汚染の強迫観念が強いので、接触拒絶で、人とうまく関われずに、付き添いや看病なども受けられず、入院生活もできず、社会から離れて、単身生活しかできないような人が多いのです。
そういう人の受ける治療は、病気を治すためだけではありません。
福祉制度と連携しながら治療を続けて、悪化を防ぎつつ、患者がストレスのかからない生活ができるように、保護をするという面もあります。
生活を改善しながらでないと、治療をしていても、病気が悪化してしまう可能性もありますので、生活の土台を安定させることで、生活の質を上げやすくして、そうなれば、病気も治しやすくできるのです。
患者としては、医療や福祉を通じて、社会の輪に入ることが大事なことです。そこには患者が生きていくためのシステムが備わっているからです。
患者はありのまま患者であれば良いだけです。無理のない、ありのままの自分でいれば良いのです。
保護と言っても病院内の物への接触拒絶や共同生活ができないことで、入院生活が困難ですので、普通に自宅から通院しながらの治療しかできませんから、環境調整も本人が一人ですることになり、生活の改善に長い時間がかかります。
ストレスに弱いので、無理のない生活ができると良いのですが、何もしないと言うのも強迫観念やネガティヴ思考に苦しめられやすいし、束縛感がありストレスになりますから、何か一人でもできることを探すと良いでしょう。

軽症であれば必ず治せるわけでもありませんが、保護しながらの治療ではなく、病気を治すための普通の治療が受けられます。

何か薬を使うとしたら、保険の通る薬を使うことになりますが、ほとんどの人に効きません。
ですので、保険上での病名を変えて、他の病気の薬が使われることもあります。

強迫行為主体型の完璧主義の人には、「こうしないと」「こうであるべき」という強い願望があり、それにとらわれることでの「こだわり」(マイルール)が強まります。
そうならない状況、そうでない状態の時に、不安、不満感、嫌悪感などが強まりますが、それは本来的な意味での強迫観念ではなく、「こだわり」が強いことによる症状です。
例えば、きれいでありたいという気持ちと行為が先行することで、そうではない状態、きたない、醜い状態を拒絶するようになります。
普通の強迫性障害とは順番が逆なのです。
普通の強迫性障害は、こうでありたいという願望によって、強迫行為をするのではありません。
何らかの不快なことに耐え切れずに、そのストレスを対処するために、嫌でも強迫行為をしないといけなくなります。
完璧主義により求められる願望とか、そのこだわりの過剰さは、精神病的な誇大妄想や興奮状態による万能感にも近く、抗精神病薬はそういったこだわりを緩めるのにも有効です。

強迫行為主体型には、強迫行為による安心感、しっくり感、すっきり感などへの依存症になっている傾向が強い人もいます。
それが得られない状況では、不安や違和感などが強まりますから、完璧主義による強迫症状と等しく、本人は強迫観念によって、そうなっていると思えるかもしれませんが、本当は依存症として治療したほうが良いのです。

強迫観念主体型は、強迫観念や記憶の想起などで頭の中が一杯になっているので、寝付きが悪くなります。
その症状には寝付きを良くする薬(睡眠薬など)が向いています。
このタイプの強迫行為は、違和感、不快感などによるストレスから心身を守る行為です。
神経過敏を抑える薬、強い恐怖感や嫌悪感を抑える薬もあることはありますが、国が許可をしておらず、日常使用できませんので、ないに等しく、それであれば、強迫行為をし続けるしかないのです。
強迫性障害=薬を多く、という考えは危険です。それは健康人の強迫症の人のことです。
どんな薬を使うにしても、過敏であると増量が難しいので、病気の強迫症の人は、できるたけ少量にしたほうが良いのです。無理に増量しても、どの道、効くような薬はありません。
ストレス耐性が非常に低いので、強迫性障害向けの認知行動療法をすると、その体験がトラウマになり、強迫症状も悪化する危険があるので、注意してください。

混合型は、強い強迫観念がありながらも、強迫行為を求める傾向が強い人です。
強迫観念があれば、それとは逆の状態を求めるのは自然なことですから、混合型もほとんどは、強迫観念主体型になり、治療法も同じです。

ただし、強迫行為による安心感、しっくり感、すっきり感、完璧感などを求める傾向が過剰に強まると、強迫行為主体型よりの混合型になります。
そういう人は、強迫行為主体型の治療と、強迫観念主体型の治療の両方をすると良いでしょう。

 


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