強迫性障害の全貌

強迫性障害の知識の普及 Link Free

強迫性障害と強迫症状、重症例、複雑性強迫症

強迫症状が出るのは、強迫性障害だけではありませんし、強迫性障害であると、強迫症状以外にも様々な症状が出ます。
強迫行為の長さは生活環境とか経済状況で変わります(変えられます)ので、それだけではなく、防御や対策、拒絶、回避、警戒心、行為を我慢している時間、併存する精神疾患、そういったことを総体的に見て重症度を判断します。

重症の場合は、いろんなことに拒絶して世捨て人のようになりますが、治療をしても治せなかった人達は、強迫性障害の症例としてほとんど公表されませんので、世間にもそういう存在は隠されています。
セルフ治療本などを売っていたり、保険適用外の高額な治療をしている治せます派の人達にとっては、治せない患者が多いことは都合の悪い事実なので、強迫性障害ではない別の病気と言うことにされてしまいます。

強迫性障害はどちらかというと、分かり難い、複雑化しやすい病気なのですが、治せます派の人達にとって、強迫性障害の範囲は、強迫観念と強迫行為があり、長時間手を洗ったり、何度も確認するという単純で分かりやすい症状の人達です。
トラウマの想起が強迫観念になっていたり、症状が重く複雑な人達は、治し方が分からないので、治せる強迫性障害の範囲から除外されて、存在していないことにされています。

強迫性障害は、SSRIとセルフ治療本があれば治せる病気なのでしょうか?
本気でそう思っている人は少ないでしょう。昔と比べて何が解明されたと言うのでしょう?
未だに有効な治療方法はありません。


強迫性障害と併存しやすいパーソナリティ障害

強迫性パーソナリティ障害→完璧主義型強迫症
依存性パーソナリティ障害→巻き込み型強迫症
回避性パーソナリティ障害→心配性型強迫症

これらはパーソナリティ障害を軽症化すると、強迫症状も治しやすくなります。

家族などの身近な人の前で強迫症状が出ると、どうしてもその人を巻き込むことになりますが、一人の時も、身近な人がいる時も、同じ症状が出るというタイプの人は、巻き込みたくて巻き込んでいるわけではなく、身近な人の前で自分の元々の症状が出てしまうだけなので、そういう巻き込みは強迫症状を悪化させません。

汚染恐怖タイプで重症の人は、家族との同居や入院生活などは大変困難になり、特に男性の場合は(社会適応力、経済力がないと)、結婚できるような状況ではありませんので、一人暮らしするしかありませんが、巻き込みを避けて、何十年も一人身の人でいようと、強迫症状は改善されません。

そうすると今度は、単身だから重症化してしまうのだと言い出す人がいますが、重症の強迫症の主症状は汚染恐怖による接触拒絶/回避です。付き添いがいると、その人から汚染されないようにとか、その人を汚染しないように、などと気苦労が一人分増えてしまうので、身近な付き添いを拒絶してしまうのです。
普通の人にとっては娯楽であるテレビや本などにも拒絶反応が出てしまう。そういう人と生活できる人はいないので単身は仕方がないのです。

好きな人とか家族であれば同居できるとか、付き添いがいれば強迫症状が緩和するというタイプは、強迫性障害としては軽症のほうです。
通常は、巻き込みするとかしないとか、そういうことに全然関わらず、強迫症状は出るので、巻き込みで強迫症状が悪化することもないのですが、依存性パーソナリティ障害があるタイプは、巻き込むことが目的で強迫症状が出ている面がありますので、巻き込みの強さに比例して強迫症状も強まります。
割と一人っ子の女性などに多いようですが、元々家族関係に問題があり、親に依存するように育てられていたり、逆に親が子に依存し過ぎていたり、そういう違和感の強い親子関係が強迫症状の不安を引き起こしていることもあります。
巻き込む形でしかコミュニケーションが取れなくなっている面がありますので、親子というよりは、一人の人間として対等に話し合えるようにしてください。

通常の強迫性障害の人は、一人で症状を抱え込む傾向が強く、家族との衝突を避けて一人暮らしをする人が多いのですが、若い女性とかだと強迫症状があっても、一人暮らしに不安が強かったり、家族と離れるのが寂しかったりして、ドロドロした関係が長引きやすく、家族への長年の支配的な巻き込みも多く見られます。
親に対してかなり攻撃的になり、一家自滅した症例もありますので、なかなか改善されない場合は、家族から離れてみるのも良いと思います。
家族が心配してそうさせないことも考えられますが、強迫症状を治すためというよりも、家族を守るためですので、しっかりと話し合いをして最善の道を選んでください。
SSRIはイライラ(攻撃性)を強めることがあるので、このタイプの人は増やし過ぎに注意です。

依存性パーソナリティ障害でなくても、家族に対して、嫌悪感、不道徳感、不信感、不正感などが強いと、強迫症状は出やすくなります。
強迫性障害だと家族や人に対してそうなりやすいということもあるので、なかなか難しい問題ですが、家族や実家が汚染源や汚染区域となってしまった場合は、接触したり、うまく関わることが不可能になりますので、距離を置いて生きて行くしかありません。

一人ではまともに生活できないが、かと言って付き添いは得られない。それが重症の強迫性障害の苦しみで、ほぼ一生続きます。


精神障害による強迫症

統合失調症→思考の混乱、自閉、認知機能の低下による不安→確認強迫、ため込み症など
気分障害→気分や思考の落ち込みによる不安→不潔恐怖、確認強迫など

統合失調症の妄想は、(患者の頭の中だけの)非現実の恐怖ですから、妄想の汚れであれば頭の中を鎮静させる薬で、妄想諸共消せます。

強迫観念は現実と結び付いた思いで、突飛な妄想のような非現実ではありませんから、その恐怖も現実と結び付いています。
現実の汚れは現実が継続される限りずっと続きます。

強迫性障害の人は、自分がおかしい状態になっていることが分かっていると言われます。
現在の自分の状態と、過去の自分や周りの人たちと比べることができるので、変な考え、変な行為をしていて、しかもそのことで苦しんでいれば、当然変であることが分かります。
このことを病識が失われないなどと言いますが、子供に関しては、自分が変であることに気付かない場合も多くあり、もし子供の頃に強迫症状があっても、それが後々の本人の記憶に残っていることは少ないのです。
子供は、ある程度変なことをしていても、それが普通なのです。

統合失調症強迫症状が出る場合は、陽性症状は落ち着いたが、まだ頭の中が混乱しているような頃です。
統合失調症では、病識が失われ、自分がおかしいことに気付けないと言われていますが、実際には幻聴を幻聴だと分かっていたり、妄想を妄想だと分かっている人も多くいます。
幻聴には頭の中に響く声なども含まれ、睡眠の前後であれば普通の人にでも起こり得ることですが、しっかり目覚めている時に聞こえる場合は、病的な幻聴です。
必ずしも現実の声として恐れるわけではなく、パニックになって現実とか非現実とかそういうことはどうでも良くなっているのです。
そういう混乱状態にあると、確認したつもりでも、自信がなくなって、また確認したりといった強迫症状が起こる場合があります。
これは認知症での確認強迫などと同じことで、実際に忘れっぽくて確認できていない可能性が強いので、心配で繰り返し確認してしまうのです。

通常の強迫性障害であれば、気分の波に関わらず、強迫症状は一定しています。
気分が良く調子のいい時は、強迫症状が弱まるという場合は、気分障害が主体となっている強迫症状の可能性があります。


認知機能障害による強迫症

記憶力の低下による不安→確認強迫など


発達障害的な強迫症

感覚過敏(神経過敏)→ストレス耐性が低い→トラウマになりやすい→汚染恐怖、不潔恐怖など
AD/HD→注意力が低いことでの不安→確認強迫など

PTSDはトラウマになりやすい病気ではありませんが、強迫性障害は一般的に考えてトラウマにならないようなことでも傷を受けて、トラウマがいくつもできやすい病気です。
強迫観念と同じように、不快な体験ほど気になって、頭の中で何回も再生されてしまうので、ほぼ一生、嫌な記憶は消えずに、全てが積もっていきます。
嫌なことが忘れられない、嫌な記憶が何度も頭の中で再生されてしまうというのは、強迫性障害の症状です。

その他、思春期の精神不安定、脳傷の後遺症、考え方や行動の癖、といったことでも強迫症状が出ます。

このように人間というのは、頭が混乱している時、強く悩んでいる時、考え事が多い時、忘れっぽいことを自覚している状態などでは、正しいことを正しく行えていないのではという不安が強まり、強迫症状が出やすいのです。
正しい思考、正しい行為をする自信をなくす原因としては、妄想や妄想的思考による混乱、記憶力の低下、うつ症状、強迫観念などがありますが、ある程度、精神にまともな面がある状態で、なんらかのことで混乱していたり、意識朦朧としていれば、するべきこと(強迫行為)を正しくできない不安が強まり、繰り返し長く行うことになります。

ただ、強迫性障害では、頭の中がはっきり意識もしっかりしていて、記憶力も問題ないのに、確認強迫が強まることがあります。
はっきりと確認した記憶があっても、強迫観念(不安なイメージ)が落ち着くまでは確認を続けないといけなくなってしまうのです。
強迫観念が浮かびやすくなっていて、その強迫観念を消すために強迫行為をするのが、強迫性障害なので、そうなって当たり前なのですが、今のところ、強迫観念が浮かばないようにする薬はありません。

強迫性障害には多様性がありますので、適切な治療で治せますと言っても、どういうタイプの強迫性障害のことを言っているかが分かりませんし、適切な治療自体が簡単には受けられないので、現実に多くの人達は治っていません。

適切な治療=非現実的治療(保険適用外の治療方法)
現実的治療=強迫性障害適応のSSRIによる治療(副作用で増量困難な人も多い)

このことは、何十年も前から同じで、おそらく今後も変わらないでしょう。


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