強迫性障害の全貌

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狂人思考/統合失調症の前駆症状が強迫症なのか?

強迫症での表象幻覚、妄想的思考の多くは、感覚過敏による過剰警戒心や過剰反応による過剰思考です。
感覚過敏に関しては、また今度書きますが、表象幻覚、妄想的思考とはどういうことか、精神病と強迫症はどう違うのかを説明します。

表象幻覚というのは、イメージを現実のように認識することで、強迫症での表象幻覚は、イメージとしての強迫観念を現実と同じように扱う状態です。
主に表象幻視が多く、真性の幻覚と違い、それを自分の内のイメージだとは分かっているのですが、現実と同じレベルのこととして反応します。
それは過剰思考ではあっても、実際に現実と結び付いているので、気にしないわけにはいきません。
表象幻視は形としてある程度はっきりしている場合もあれば、感覚的で形がはっきりしていない場合もあります。

妄想的思考というのは、ものの考え方が一般的ではないが、それを現実と同じレベルで認識することで、ストーリー性があり、表象幻覚を伴うこともあります。
その内容は、突飛で非現実的な真性の妄想と違い、日常的なことが多いのですが、一般的には考えないようなことだったり、過剰な考えだったりします。
本人もそのことは分かっていて、自分だけの思いで、他の人はそう思わないことも分かっていますが、現実とほぼ同じレベルで認識します。

統合失調症での妄想は、ほとんど一般の人が体験しないようなこと、ありえないような内容が多いのですが、強迫症での妄想的思考は過剰だがありえなくはない範囲であり、そう考える人がいてもおかしくはないなと、ある程度は一般の人にも理解できる内容になります。
そういう意味では、妄想的思考=二次妄想とも言えますが、強迫症の場合、あくまでそれは、自分の内面世界であることが分かっています。

妄想的思考は日常的である程度現実味のあることで、本人にとっては現実そのものではないが、現実とほぼ同じレベルのこと。
妄想は非日常的でほとんど現実味のないことで、本人にとっては現実(他者の世界)以上に現実そのものになっていること。その違いで区別できます。

誰かに見られている、という場合でも、精神病的な妄想状態では、誰にも見られてないのに、誰かに見られていると確信して思うわけですが、強迫症の人の妄想的思考は、

現実には誰にも見られていないことは分かっている
しかし、人に見られているように思えてしまう(そういうイメージが浮かびそれも現実のことのように思えます)

イメージを現実と同じように扱ってしまうのは、妄想に近いのですが、イメージをイメージだと分かっているか、分かってないかの違いが大きいのです。

精神病の妄想は、現実が分かっていませんし、妄想内容が自分だけの思考であることが分かりません。
本人は現実(他人と共有する世界)よりも妄想で考えていることが実際に身近でリアルに感じられますから、そちらが本物になります。
幻覚の場合も同じです。

強迫症は精神病ではありませんが、精神病に近い強迫症の人もいます。

精神病というのは、基本的には、幻覚妄想があったり、支離滅裂な言動が見られる状態です。
統合失調症は精神病そのもので、特に陽性症状が目立つ時期を精神病状態と言います。
これは社会的に危険性の強い病態なので、本人が治療しようとしなくても、治療してもらわないといけなくなります。
それで、精神病とそれ以外の精神疾患をはっきりと分けないといけないのです。

ただ、分け難い場合もあって、精神病までは行かないが、精神病のボーダーラインに位置する精神障害を、昔は境界例などと呼びました。
今では、病名とは別に、精神病様、統合失調症様などという感じで補足します。

病名についている場合もあり、パーソナリティ障害というのは病的な性格を持つ人という感じですが、精神病のような人格になっている人は、境界型とか統合失調症型のパーソナリティ障害ということになります。

強迫症では、精神病に近い症状は出ても、幻覚妄想があったり、支離滅裂な言動が見られることもありません。
しかし、うつ病で起こるとされる精神病的な症状の微小妄想や統合失調症で起こる妄想気分、妄想着想、妄想知覚というのは、強迫症でも内面的には日常的に起こります。
内面的にはというのは、思考としてという意味で、思考、イメージの世界では、狂人のようになりますが、それはほとんど表面化されません。

狂人思考が表面化されないから、統合失調症にはならないのです。

昔は統合失調症は身の周りの環境的なストレスで発症するわけではないと考えられていて、今でも頑なにそう思っている人もいますが、まったくストレスが関係しないならば、ストレスで再発することも見られないはずです。

今では、統合失調症になりやすい脳の人がストレスで発症するという説もありますが、統合失調症になりやすい脳というのが、どういう脳なのかは分かっていません。
個人的には、統合失調症になりやすい脳と言ってもそれにもレベルとかタイプがあり、生まれつきそういう脳で、すごくなりやすい人は、ストレスに関係なく統合失調症を発症するが、その傾向が軽い人とか、後天的にそうなった人は、ストレスで発症したり、再発しやすいのではと考えています。

個人的には、ストレスを感じるのは脳であり、脳神経回路は、人間の体内で一番ストレスによるダメージを受け易い場所だと考えています。
それは、人の思考に影響を与え、元々脳神経に弱さがある人は、強いストレスが続くと、異常思考や精神異常が起こりやすいのではと思います。

昔から統合失調症の前駆症状が強迫症だという説があります。
これがなぜかと言うと、統合失調症の前駆期の症状(初期症状)は、精神病的ではあってもノイローゼ状態ですから、それとほぼ同じ症状が、強迫症では慢性症状として見られるからです。

ストレスに弱くなっているノイローゼ状態続くと、統合失調症になりやすい脳の人は、いよいよ精神病になっていくのですが、なにりにく脳の人は、初期症状(精神病的なノイローゼ状態)だけがずっと続くわけです。
そこに強迫症の人が含まれるわけですが、統合失調症に近い強迫症はあっても、統合失調症に向かうわけではありませんので、統合失調症の前駆症状が強迫症というわけではないのです。

統合失調症の人でも前駆期や治療中に強迫症状が見られる人もいますが、長年強迫症ではあるが、統合失調症になっていない人は、むしろ統合失調症にはなりにくい脳なので、統合失調症にはならないことが考えられます。

強迫症というのは、危険を過剰に回避しようとする病気です。
精神病的な内面症状は、狂人思考ですが、それが出ると危険なので、強迫症状が表に出ないようにブロックします。
この狂人思考の抑制(束縛)も強迫症状(強迫行為)ですが、本人の中からは消えませんんので、精神病的な内面症状で苦しみ続けることになります。

強迫症患者の患者の頭の中は、嫌なこと(不安、嫌悪、不快感、恐怖、狂気)で一杯になりますが、どんなに内面的に病んだ思考を持とうと、そのことを語ること(表面化すること)への恐怖が強いので、ほとんど人に話しません。

絶対に考えたくないようなことばかり考えてしまい、思い出したくないことばかり想起されてしまいます。

そのような内面のみの症状は、社会的に考えると危険性はほとんどありませんが、本人が社会に適応することができなくなっていきます。

重症の場合、大抵は汚染恐怖があり、接触拒絶の症状が出るため、付き添いが得られませんし、看護や看病も受けられません。病院に近付けない人さえも多くいます。
情報への恐怖、汚染症状で、テレビ、新聞、雑誌などに近づけなくなり、会話もまともにできなくなりますから、人間関係がなくなります。
できないことはできないままになり、うつ症状が強くても、最低限のことは自分でしないといけなくなります。
世間一般的には簡単なことや楽しいことでも、我慢をしてすることになり、少しのことで神経を消耗します。

重症であるとほとんど何もできなくなりますが、強迫症状で自殺もできませんので、自然と死ぬまでは、細々と孤独で冴えない人生を送ることになります。

このブログには、強迫症の人には、表象幻覚や妄想的思考があるなどと書いていますが、強迫症の全員にそれがあるわけではないし、むしろそういった妄想的な症状がある人は、強迫症として扱うべきではないと考える人もいると思います。
つまり、強迫症+なんらかの精神疾患が併存しているとしたり、何らかの精神疾患の症状として強迫症が出ていると考えるわけです。
確かに診断基準だけで考えれば、強迫症はとてもシンプルな病気で、過剰な心配性、過剰なきれい好きといったレベルの人達も含まれることになります。

強迫症には、なんらかの精神疾患が併存していることが多くありますが、それが強迫症ときっちり分けられる病気(強迫症とは関連しない別の病気)であれば、併存している精神疾患強迫症自体を変える事はなく、強迫症状自体を重くすることもありません。
例えば、強迫症うつ病が別の病気であれば、併発して抑うつ気分は強くなっても、それが強迫症を重くすることはないのです。

統合失調症の人に強迫症状があっても、それが統合失調症の症状を変える事はないので、強迫症状は統合失調症の症状には含めないのです。
逆に、強迫症状が統合失調症を重くするのであれば、強迫症状も統合失調症の症状に含めることになりますが、そうではないのでそうしないのです。

統合失調症の前駆期の症状も統合失調症の診断基準には含まれませんので、他の病気でそれが見られてもまったくおかしなことではありません。

強迫症では、うつ病があるから、強迫観念が妄想的になったり、強迫症状が重くなったりすることも実際にあるので、本当は、うつ病(抑うつ症状)も強迫症に含めるべきなのです。

そして、表象幻覚や妄想的思考も強迫観念を確かに重くしますから、表象幻覚や妄想的思考があるから別の病気が併存しているこということではなく、表象幻覚や妄想的思考も確かに強迫症で起こり得る強迫症の症状として考えても良いのです。
少なくともそれがあってはならないという診断基準にはなっていません。

そういう意味で、強迫症というのは、本当はかなり症状の範囲の大きい病気ですから、このブログでは、本当の強迫症を説明しているのです。

 


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