強迫性障害の全貌

強迫性障害の知識の普及 Link Free

強迫症状は無意味なのか無意味ではないのか?/発達障害に基づく強迫症

統合失調症の人は、現実のいろんな情報に迫られて、それをうまく整頓できないから、混乱していると言っている人がいますが、これは大きな勘違いで、統合失調症の人は現実には鈍くなっているので、そういうことはあり得ないのです。
統合失調症の人は幻覚妄想状態になっていることで、客観的には、そういうふうに見えてしまうのですが、実際には現実ではなく、幻覚妄想の思考世界のいろんな情報が流れ込んできて、混乱している状態なのです。
幻覚妄想に過敏反応して、現実への意識が鈍くなって、現実のことがうまく考えられなくなってしまうわけです。

精神病というのは、極端な話、現実がまったくなくても、その患者さえいれば、幻覚妄想の精神症状は出るのです。
基本的常識ですが、現実へのストレス反応で症状が出ているわけではない(現実は関係ない)から、精神だけの病気=精神病状態なのです。

もちろん厳密に言えば、現実がなければ、幻覚や妄想を作り出す情報の元も、精神病患者も存在できませんから、現実もある程度は関係しているのは間違いないし、人によっては、現実へのストレス反応によって精神病状態になっている人もいます。
統合失調症自体も人によっては、環境的ストレスで発症したり、ストレスで悪化する人もいるのですが、極端な精神病状態の時のその症状自体は、現実とはほとんど繋がりがないのです。

逆に強迫性障害は精神病ではありませんから、幻覚妄想ではなく、現実のいろんな情報が流れ込んできて、それをうまく脳が処理できないことでストレスになって、その現実のストレスと結び付いた思考が、強迫観念や表象幻視や妄想的思考になります。
ですから、強迫観念=非現実性の思考というのは、勘違いで、現実的な思考であるから、幻覚妄想(精神病)と区別できるのです。

それを解消しようとする強迫行為が、現実との繋がりがないわけがありません。
強迫観念が非現実や無意味に思えるのに、強迫行為をしないといけない人というのは、非現実の思考=妄想にとらわれる状態であり、突飛な内容ではなくても、精神病症状なのです。

現実検討力があれば(精神病状態でなければ)、非現実や無意味に思えることで、強迫行為をすることはありません。

一般的な強迫性障害の説明では、
「患者は強迫観念や強迫行為を無意味で馬鹿らしいことだと思っている」
と書きながらも、
「強迫観念は不快なので、それをなくすために強迫行為をする」
とも書いています。
不快なことをなくすためにする行為がなぜ無意味に思えるのでしょう?
患者が不快なことをなくすために行為をしていることが患者本人が分かってないとでも言いたいのでしょうか。
そんなことは当然、本人が一番良く分かっています。
むしろ他人にはその現実的な不快感が分からないから、他人から見れば、無意味でバカバカしいことをしているように見えるのですが、そのことも患者は分かります。

患者本人も一般的な考えがどうかも分かりますから、(強迫観念ではない)正常な思考で普通の人と比べれば、無意味でバカバカしいことをしていることは分かります。
だからと言って、同時に本人としては、「強迫観念は不快なので、それをなくすために強迫行為をする」のですから、無意味でバカバカしいことをしているとは思っていないのです。

では、どっちなのかと言えば、人によるのです。
人によっては、「患者は強迫観念や強迫行為を無意味でバカバカしいことだと思っている」のですが、人によっては、「無意味にもバカバカしくも思えません」。

この違いは強迫観念の現実性の強さです。
強迫観念を「そんなことはない」「ありえない」と思いながらも強迫行為をする人は、強迫観念ではなく、非現実だと分かっている妄想によって強迫行為をしているのですから、非現実のために過剰に強迫行為をするのは無意味でバカバカしく思えます。
「ありえない」と思っているということは、強迫観念を「ありえないこと」に思わせる認知行動療法で治しやすいのは当然で、妄想を落ち着ける抗精神病薬も効きやすくて当然です。

近年で治せるようになった強迫性障害というのは、この妄想型の強迫症の人です。
だからこそ、「患者は強迫観念や強迫行為を無意味でバカバカしいことだと思っている」が普通になってしまったのです。
今までは、これが普通の強迫症ということになっていましたが、実際には本来の強迫症ではなく精神病圏の人達です。だから治せるのです。

逆に強迫観念を「そうである」「ありえる」と思いながら強迫行為をする人は、現実反応の強迫観念を解消しようとしているのですから、強迫観念も強迫行為も現実と実際に結び付いていて、強迫行為によって実際に強迫観念も現実の問題も一時的ではあれ解消しますので、無意味には思えないのです。
だからと言って、強迫行為をしたいわけではなく、したくもないのに、しないといけなくなってしまうので、そういう意味では、不合理に思えたり、生活の効率が悪く時間の無駄には思えます。

これが精神病ではない本来の強迫性障害で、精神病ではないので治し難いのです。

妄想型と普通の強迫性障害の区別ができるようになったら、あとは、強迫観念主体なのか強迫行為主体なのかの区別です。

病的にきれい好きの人は、実際に病気であって、強迫行為主体型の強迫症にはそういう人が多く含まれます。
きれいにしていたい、生理整頓してきっちりしておきたい気持ちが強く、それができないと不満や不安が強まるタイプです。
強迫行為主体型というのは、強迫観念よりも「こうしたい」「こうするべき」という気持ちが先行しているタイプで、強迫観念(不安など)より早く、その思い(強迫的なこだわり、願望)があるのです。

このタイプは強迫行為依存症のようになりますから、強迫行為を求めてしている傾向が強く、行為の時間も長くなりやすくなります。
強迫観念主体型の汚染恐怖の人は掃除ができない人が多いのですが、病的にきれい好きだと、きれいにしないと気が済まないので掃除ばかりします。
こういうタイプはそんなに悩むことはないので、病院に行く人も少ないと思いますが、よっぽど強迫性が強いと、強迫観念主体型と見分けが付かなくなります。

強迫行為をしないといけなくなってしまうという意味では、強迫観念主体型と強迫行為主体型は同じだからです。

だからと言って、強迫行為をしないといけなくなってしまう理由が違うのですから、治療方法としては違うアプローチをするべきですから、区別はしないといけません。
強迫行為主体型の治療は、依存症の治療に近くなります。
強迫観念が問題ではありませんから、強迫行為をしないようにすることができれば良いので、今ある普通の治療方法で治しやすいはずです。
実際にこのタイプであれば、強迫行為をするほど、症状は悪化しますから、現在言われている一般的な強迫性障害は、強迫行為主体型であることが考えられます。

強迫観念主体型は治し難いままほとんど放置されていますが、仕方がないことです。
汚染恐怖で病院に行けない人とか、接触拒絶症状で適切な治療が受けられない人も多いし、実際に治し方がないので、悪化防止の治療をしつつ、生活の質を少しでも良くできることをコツコツとしていくしかありません。

強迫観念主体型には、強迫感覚主体型も含めます。
具体的な強迫観念はなくても、違和感などの強迫的な感覚が不快で、それを解消するために強迫行為をするタイプです。
細かく言えば、強迫気分主体型などもありますが、それも強迫観念主体型に含めます。

発達障害に基付く強迫症を普通の強迫症と分けるべきでしょうか?
本来の強迫症発達障害がベースになっていると考えています。

幼い頃からの感覚過敏があれば、発達障害に基付く強迫症とは限りませんが、強迫症の人には感覚過敏や神経過敏の人が多くいます。

感受性が強く刺激に過敏であれば、当然、現実のストレスも感じやすくなります。
そのストレスが思考と結び付くと、嫌な考えや嫌なイメージになり、一般的ではない思考も浮かびやすくなったり、不快な刺激と結び付いた嫌な記憶なども消えにくくなります。
病的に感受性が強いとそういう思考の反復性、持続性、強迫性が強まり、これがなかなか消えずに残って、強迫観念になります。

AD/HDと強迫性障害が併存することはよくありますが、HSP強迫性障害のほうが関連性は強そうです。
HSPは病気ではないので、能力にもできますが、HSP強迫性障害であるとほぼ無能力になります。
強迫症の人は良い心掛けとか、良い記憶などは維持しようとすると、そのことがストレスになってなかなか続きません。
しかし嫌な思いとか嫌な思いはどうしても気になって、なかなか離れなくなります。
なので、前向きに生きることができなくなり、逆に消極的回避的にしか生きられなくなります。

強迫性障害は、生まれつき過敏過ぎる人の病気なのです。

発達障害ベースの人には、感覚過敏により精神病的思考になっている人もいますが、精神病的な変な考えやイメージがあるというだけで、精神病ではありませんから、薬も効きませんし、強迫観念も現実反応なので、認知行動療法も不適応です。
発達障害が治し難いというか、治せないことと同じで、現実の刺激への弱さが治せないので、それと結び付いた強迫観念もほとんど治せないのです。

発達障害+ノイローゼ=精神病のような個性的な思考を持ちやすい。ということです。
当然、その人生も特殊になりますから、独自の工夫をしなければ、うまくは生きられません。


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