強迫性障害の全貌

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強迫性障害(強迫症)と精神障害者手帳

精神障害者保健福祉手帳用の診断書様式に不適切な部分がありますが、問題とされないのは、強迫性障害が正しく理解されていないからです。

少し修正しました。2020.9.25

-------厚労省に意見したい場合、文字数制限がありますので、コピーする人はここから下をコピーしてください--------

 

精神障害者保健福祉手帳用の診断書様式に不適切な部分があります。

手帳用診断書の生活能力の状態の判定項目として、
身辺の清潔保持
身辺の安全保持
という項目がありますが、強迫性障害は、強迫観念によって危険回避的行動(安全確認)や危害の対処(洗浄など)を、過剰にしないといけなくなって苦しむ病気です。
重症度判定としては、どれだけ「できない」かしかなく、それで言えば、病的に過剰ではあってもできることになり、強迫性障害としては重症の人も、精神障害としては軽症から中程度の扱いになります。
精神障害の場合、「できる」か「できない」かだけでは正しく判定できません。

現状では下記のようになっています。

【身辺の清潔保持、規則正しい生活】
「自発的にできる」 「自発的にできるが援助が必要」 「援助があればできる」 「できない」

【身辺の安全保持・危機対応】
「適切にできる」 「おおむねできるが援助が必要」 「援助があればできる」 「できない」

これだと強迫的に清潔にしてしまうとか、強迫行為として安全確認などが過剰になって苦しんでいる人には、正しく重症度を判定できません。

強迫的にしてしまうことは、自発的にしているわけではないのですが、その違いが理解されていなければ、自発的にしていることとして判断される可能性があります。
もしその区別が理解されていれば、「自発的にできる」 「自発的にできるが援助が必要」以外にはなりますが、強迫行為としてすることは、援助があろうとなかろうと適切にはできないのですから、「援助があればできる」 「できない」のどちらにも該当しません。
現状での「できない」というのは、自分ではまったくできないという意味で、「適度にできない」という意味ではないからです。

【身辺の安全保持・危機対応】の項目の、「援助があればできる」という書き方も、強迫行為としての安全保守(過剰な安全確認など)には不適切です。

【身辺の清潔保持、規則正しい生活】のほうは、「自発的に」という表現ではなく、「適度に」とするべきです。
「自発的にできる」 「自発的にできるが援助が必要」→「適度にできる」 「適度にできるが援助が必要」

そして両方の項目の「援助があればできる」の部分を、「援助があればできる/過剰」としたり、「援助があればできる」 「できない」の間に、「過剰」、「適度にできない」などを入れるとか、「できない」の部分を、「適度にできない」と変更すると、適切に判定できるようになります。

もしくは最低限、
【身辺の清潔保持、規則正しい生活】→【適度な清潔保持、規則正しい生活】
【身辺の安全保持・危機対応】→【適度な安全保持・危機対応】
とするだけでも良いのです。

そして、援助が受けられる人のみが前提になっていて、症状により付き添いが得られない人などを想定していないことも問題です。そういう患者が正しく判定できません。
強迫性障害では、汚染恐怖や接触拒絶で、病院に近付けない(入れない)、接触のある検査や治療が受けられない、看病や看護が適切に受けられない、入院生活が困難、家族との同居ができない、(付き添いの人から汚染が拡散するので)付き添いの人が得られない、といったことで、適切な援助が受けられずに孤立して苦しんでいる人も多くいます。

「援助があればできる」と「できない」の間に、症状により「適切な援助が受けられない」、「援助が困難」などの選択肢もあるべきなのです。
本当に重症なのは、そういう人なのですから。

もしくは、【集団行動、共同生活】という項目を作っても良いでしょう。

症状による苦痛がどれほど強くても、そのことが重症度の判定に考慮されないのも問題です。
本人があまり苦しんでなくても、寝たきりで何もできなくて、何もかも生活のめんどうを見てもらっている人が重症で、症状により孤立して一人で苦しんで生活している人のほうが軽症と言うことになっています。
本当に支援が必要なのは、症状によって、人との同居や入院生活ができないとか、適切な援助が受けられないことで孤立して、めんどうを見てくれる人がいなくて、苦しみながらも一人で生活している精神障害者なのです。

強迫性障害は、強迫観念による精神的苦痛と、強迫行為による肉体的苦痛が伴います。
症状による本人の苦痛がどれほど強いのかということも考慮して重症度を判定するべきです。
例えば、
【症状による苦痛の自覚】 「ない」 「弱い」 「中度」 「強い」
という感じの判定項目があると良いのです。

強迫性障害のような特殊な精神障害であっても適切な判定ができるようにするべきです。

 

---------ここまでで2000文字

現状の診断書様式では、強迫性障害単独では適切に判定できない基準になっていますので、同意できる人は、コピーして構いませんので、厚労省などにどしどし意見してください。

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たぶん、厚労省はこういう問題を無視しますから、地域の福祉局などでも良いと思います。


このことは、障害年金にも言えることで、強迫性障害単独では適切に判定できない基準になっています。
障害年金を申請できるということは、年金を払える生活ができていたわけですから、症状でそういう生活ができないほど社会能力が低下していた人よりは、まともな人が多いのかもしれませんが、それでも重い人が適切に判定されるように障害年金のほうも判定基準を改定するべきでは。


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