強迫性障害の全貌

強迫性障害の知識の普及 Link Free

重症の強迫性障害とは

妄想というのも実際には強迫観念なのですが、その強迫観念の内容が非現実的であるから強迫観念というよりは、妄想ということになります。

つまり、妄想とは非現実的な強迫観念なのです。

逆に言うと、強迫観念とは現実的な妄想とも考えられます。
妄想的であっても、現実との結び付きが強いので、妄想というよりは、強迫観念といいます。

その中間が妄想様強迫観念とか二次妄想で、重症の強迫性障害には多く見られます。

具体的な例は、強迫性障害の人の強迫観念を刺激しますからあまり書けませんが、例えば、悪い言葉を見聞きできずに、テレビや雑誌などに近付けなかったり、人との会話ができないなどの回避症状が出る人です。
公共の場のほとんどの物に接触できなかったり、交通機関が利用できないとか、汚染が怖くて誰とも共同生活できないとか、接触回避で人からの看護や、かい護なども拒絶してしまうとか、病院に近付けずに、適切な治療が受けられないとか、ほぼ社会性がなくなります。

その他に重症になりやすいタイプは、トラウマが強迫観念になっている場合です。
PTSD的なフラッシュバックは、目の前に現実のようにありありと現れるそうなので、ほぼ幻覚に近いものだと言えますが、現実の記憶であるから、それを幻視というわけにはいきません。
PTSDという病気が生まれた時代背景を考えると、おそらく当時の一部のPTSD患者はトラウマ恐怖から逃れようと麻薬や幻覚剤などを使用していた可能性も考えられます。
もしそうであれば、そういう幻視のようなフラッシュバックもあり得ますが、通常は記憶が脳内で強迫的に想起されたり、入眠時幻覚や悪夢のように、睡眠前後や睡眠中に現れてしまう記憶の再生もフラッシュバックに含めても良いのではと思います。

入眠時幻覚というのは、通常は脳内に現れている心像や音声などを現実だと錯覚してしまう状態です。
入眠前や出眠後の寝ぼけた状態では、普通の一般の人でも起こり得えますが、眠気の起こる向精神薬を使用していると起こりやすいようです。

トラウマが強迫観念になっている場合は、トラウマ恐怖、トラウマ嫌悪の症状が出て、トラウマの想起をほぼ1日中、毎日、脳内で振り払わないといけなくなったり、トラウマを想起するような物事や、トラウマ関連の物事を全て回避するようになります。
それだけであれば、PTSD/複雑性PTSDの症状と同じですが、強迫性障害の場合は、トラウマ嫌悪と汚染恐怖や不潔恐怖が合併して、そういったことで汚れてしまったりするので、症状が複雑になり重症化して、最も治り難くなります。

一部の病院では、強迫性障害の重症度をエール・ブラウン強迫尺度などで機械的に決めようとしますが、本当の重症患者はそういう病院に近付くことさえ困難ですから、そこに重症患者はほとんどいませんし、例えば、手を洗う時間が何分かなどの強迫行為の長さというのは、患者の生活環境や経済状況などで左右されます。

重症の患者ほど、日常生活や社会適応が困難になり、特に汚染が関係している場合は、家族などとも接触できなくなり、友達関係もなく、孤独に生きることになります。
汚染回避で家族と生活できなくなれば、通常は一人暮らしするしかありませんが、水道代を気にしながら一人で生活している患者と、家族と同居で水道代などを親が払っている患者とを同じようには比べられません。

強迫行為にうんざり気が滅入ってしまえば、とにかくそうならないように、回避するしかありませんので、当然、経済的にも苦しくなり、水道代などを気にして、さらに回避が多くなります。

重症なほど回避が多く、できないことも多く、程度によっては、病院に行けずに、患者にさえなれないのです。
強迫性障害というのは、重症な人ほど、病院に行きませんので、医療関係者が研究したくても来ないからできないのです。
なので、一般的な強迫性障害の説明としては、よく手を洗うとか、確認を何回もするとか、他人から見て分かりやすいことしか書いてないのです。
他人に分かり難い内面的なことは分からないので、強迫観念はしばらくほっとけば自然と消えるからそれまでは強迫行為をしないようにすればいいなどと簡単なことのように書いてあります。

以前も書きましたが、ほっとけば消えるような思いは、強迫観念ではありません。
ほっとこうが、消そうとしようが、消そうとしないようにしようが、そういった意志に関係なく、強迫観念は浮かぶし、強迫性が強いほど、そういう性質も嫌悪感や拒絶も強まるので、結局は、強迫行為をするとか、回避をすることになります。

強迫性障害は軽症であれば、簡単に治せるかもしれませんが、本当の強迫性障害は、強迫観念の性質を考えると、どうしようにも治せません。
強迫性障害の内面にある統合失調症的な病態をどう扱うかというのは、病院によって違いがありますが、抗精神病薬で軽症化した例というのは、強迫観念ではなくて、妄想や強い思い込みだったということになりますから、強迫性障害の強迫観念を治したことにはなりません。
統合失調症なら抗精神病薬で軽症化できますので、いわゆる名医を自称している人もいますが、どこの病院に行こうと強迫性障害に使える薬は限られていて、使い方も同じですから、治すというよりも、症状への理解者が強迫性障害の名医と言えます。

強迫観念は、発達障害的な生まれ付きの感覚過敏や神経過敏のある人にとっては、適切な防御反応でもあるように思えます。
だとしたら、治らず繰り返されるので、必ず重症化していきます。
今まで、重症化してから治ったという人は一人もいませんので、抑うつなどの強迫性障害の周辺症状を軽症化して、強迫症状があるままでも生活しやすくすることを考えたほうが良いです。

軽症の人の場合は、こういうブログを読むよりも、治る治るという話を信じたほうが治療的です。
強迫性障害には幅があり過ぎて、軽症なのか重症なのかでも、全然違います。
みんながみんな治し難いということはありません。

 

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