強迫性障害の全貌

強迫性障害の知識の普及 Link Free

強迫性障害は治せるという話は本当か?

よく強迫性障害の説明に「分かってはいるが」と書かれていますが、そう書いている人が「何を」分かっているのかがよく分かっていない場合が多くあります。

これは現実が分かっているという意味なのです。
ただ、感受性が強いことで、現実のストレスとかそれと結び付いた強迫的な考えやイメージに過剰反応してしまうのです。
そうすると現実と自分の思考の区別ができていても、イメージに対しても現実的反応をして、その不快感に耐えられず、それを解消しようと強迫行為(現実のストレスと強迫観念の除去)をしないといけなくなります。

恐怖症との違いは、現実のストレスから離れた状態でも、それと結び付いた強迫観念が嫌な考えやイメージとして反復的に浮かび上がってしまう点です。
これは現実のストレスも強迫観念も記憶に残りますから、その記憶に反応して、また強迫観念が浮かんでしまうからです。
その強迫観念に過敏反応してまた強迫観念が浮かびますから、頭の中でそれを振り払う行為が繰り返されます。

ここで理解しないといけないのは、強迫行為をしたり、頭の中で強迫観念を振り払うから、強迫観念が浮かぶわけではないということです。
感覚過敏や神経過敏で感受性が強い人は、嫌な記憶に対して過敏反応が起こって、どうしても長くとどまってしまうのです。
強迫行為主体(先行)型の人であると、確かに強迫行為をする(求める)から強迫観念が浮かぶのですが、それは本来の強迫性障害ではありません。
しかし一般的にはそのタイプの強迫性障害しかないと思われているので、強迫観念主体型の人がその説明を読むと、全然違う病気に思えるのです。
他人からすれば症状としては同じように見えますが、内側が違いますから、強迫行為主体型か強迫観念主体型といった区別をするか、強迫観念主体型の強迫症はまったく別の病名にするかしたほうが良いのです。

強迫性障害というのは、外界への認識が正常だからこそ、現実検討力があると言われるのです。
つまり認知力はほとんど問題がないのですが、脳を含めた体質的に神経過敏であることで、過剰反応になって、強迫観念が浮かびやすいのです。
そのストレスをなくそうとする行為も生物としては正常な行為なのですが、過剰であることで、日常や社会での障害になります。

強迫性障害認知行動療法は、曝露反応妨害という方法が使われますが、前回書いたように、強迫性障害の人の日常は曝露と反応妨害の連続であるからこそ、そのストレスで悪化するのです。
ストレスの低いことから慣れさせると言っても、重症の人にとっては、社会での長年の曝露と反応妨害によってストレスの低い事に関してはすでに耐えられるようになっていて、ストレスの強いことばかりしか残ってないので、どうにもならないのです。

認知行動療法というのは、治療行為ではありませんから、医師ではない人でも知識があれば誰でもできます。
それをするための資格もいりませんし、家族などが本を読んでやることもできるし、自分でしても良いのです。
例え医師が認知行動療法をやったとしても、それでも治療ではないのです。
医師がカウンセリングをしても治療と言わないことと同じで、医師ではない人が業としてできるということは、それは治療とは言えない行為なのです。

本来、治療(医療行為)は医師しか行うことができないので、建前としては、認知行動療法医療機関での医療行為と連携して行われ、認知行動療法という心理的なサポート(認知と行動を修正すること)によって病気が治しやすくできるという補助的な行為ということになっています。

しかし実際には認知行動療法も治療行為ですから、本当ならば、医師が行うことが望ましいのです。
医師以外の人が行う場合はホームページなどに病名を記載して、それが治せると宣伝することも良くありません。
スピリチュアルヒーリングとかもある意味、心理療法ですが、病気が治せると宣伝できないことと同じです。

認知行動療法は心理士が行うとか、資格がないとできないように思わせるのは、
http://ocd-net.jp/column/c_130.html
http://ocd-net.jp/column/c_179.html
そういう資格のビジネスやその資格を取るためのスクールをしている組織があるからです。

なぜ医師が治療するべきかというと、医師以外の人であると、患者の病状自体を把握できていない場合もあるので、治療というレベルで行うのは危険があるからです。

特に強迫性障害認知行動療法は曝露反応妨害と言って、ほとんど知恵も工夫もない患者へのストレスの強い原始的手法ですから、ストレス耐性の低い人とか、複雑な症状の人とか重症患者を扱えば、逆に悪化させる危険性が強くあります。
そもそも強迫性障害が理解されずに、多くの誤解で考え出された理論ですから、それで治せるとしてもその範囲の人だけなのです。

認知行動療法も医師が行う場合などは保険が使えますが、医師が行う場合でも全額自費で行っている所があります。
なぜなら認知行動療法がビジネス化してしまっているからです。
自費で医療でもないということは、価格制限がなく、金額も自由に決められます。
ステマやサクラなども使って、うちではこんなにも治しました、治りますと言う宣伝も誇大になります。
治せると言っても、ビジネス化していると信憑性がありませんし、認知行動療法を受けていない多くの人、受けたが途中やめたり、悪化した人、そういう人達を除外しての話ですから、強迫行為主体型や軽症患者が中心になり、その範囲である程度治せるのは当たり前のことです。
それでも治らない人も多いのですから、本当はそんなに治せているわけではないのです。

薬である程度まで治ってから、とか前置きしていれば、まだ良心的なのですが、ビジネス化してしまうと、都合の悪いことは隠して、うちではこんなにも治しましたというデータを作り上げてしまいます。
このビジネスはスピリチュアル業界とかと同じで、技法と名称独占資格が商品であって、それを教え資格を与えるという流れがあって、業界が一体となって宣伝をします。
どちらかというと、そういうビジネスのために認知行動療法があって、それをするために都合の良い病気の説明やデータが作り上げられているのが現状です。

認知行動療法と言っても、うつ病向けとかそういうレベルならまだ危険も少ないので良いのですが、強迫性障害PTSD向けの方法は、患者に有害になってしまうこともあるのです。
前回も書きましたが、検討している人は、「悪化しないか?」「トラウマにならないか?」とか、汚染の人は、「汚れて何か捨てないといけなくなったり洗浄することになったらその物品や水道などのお金を払ってもらえるか?」などを事前確認してください。
そういうレベルの人は受けないほうが良いからです。

認知行動療法でなくても、一般的な健康法とか自己啓発本と同じレベルの独自の治療方法を本などにして売ったりしている人もいますが、そういうのもビジネス化されていて、言うだけなら何でもありになっています。
ほとんどの場合、強迫性障害がどんな病気かも理解できずに、強迫性障害の一部のタイプだけ取り上げて、それが全ての強迫性障害であるかのように語っていますから、森田療法と同じで、治せるとしても一部の信者だけになります。

認知行動療法が向いている病状なのか、そうでないかの判断は症状が一番良く分かっている患者が自分で分かることです。
症状がシンプルで軽いのであれば、特に問題ないはずです。訓練とかリハビリだと思って、やりたければやっても良いのですが、元々ストレスに弱い人が無理にしても意味がありません。

神経過敏で感受性の強い人は、外界の刺激だけでなく、それと結び付いている強迫的な考え、イメージ、記憶、そういうことにも過敏になります。
過敏であるということは、どう考えるか、どういう性格なのか、それ以前に問題があるので、認知行動療法などで治せることではないのです。

誤解している人は、強迫行為をするほど強迫観念が浮かびやすくなり悪化するなどと考えますが、強迫行為をしなくてもそれ以前に強迫観念があって、過敏であるとその強迫観念の不快感に耐えられないのです。
それで強迫行為で解消するしかないのですが、それをしないということは、強迫観念は解消されずに内面の問題が長引くだけなのです。
強迫行為が減って、他人から見れば一見症状が改善したように見えても、本人の苦しさは増しているということです。
普通ならそれは苦痛にならないからすぐに消えるが、過敏であるから苦痛として残ってしまうのです。
この「残ってしまう」というのが、伝染や関連付きの症状に繋がります。

強迫行為主体型の人であれば、強迫行為を抑えることで、強迫観念も弱まりますが、強迫観念主体型の人の強迫観念は、どう考えようが、そういったことに関係なく浮かびますから、どう考えても、それに関係なく治せないのです。

神経過敏で感受性が強いと、考えや気のせいなどではなく、実際に些細なことでもショックやダメージを受けます。
そうすると、頭でどう考えるか関係なく、生理反応的にその刺激を避けるようになります。
思考に関係なく、脳を含めた体がそうするのです。
そういう時に強迫観念が自然発生的に浮かびますから、それを思考だけでコントロールすることは難しいのですが、それと結び付いている現実を変えることで、解消させようとする試みが、強迫行為です。

社会の中でストレス対象の曝露が繰り返され、反応妨害(それを解消する行為ができない状況)も繰り返される。これが何年も続くことで、強迫症状が悪化します。
過敏であると、ストレスに慣れることができずに、感作が起こり、益々そのストレスに弱くなります。

段階的に曝露や反応妨害をすれば、慣れて治せると考えるのはまったくの勘違いです。
考え方や気のせいで症状が出ている人ならそれでいいのですが、その範囲の人はほぼ一般の人に近い人であり、本当は健康だからこそ治せるのです。
本当に病気の人が曝露や反応妨害をすれば必ず悪化しますが、それ以前に危険を察知して、防御反応が起こります。
認知行動療法で治せるのは、強迫行為主体型の人とか軽症段階の人のみで、本当の強迫性障害の人が受けたら逆に悪化しますので注意してください。
受けられないとは思いますが。

認知行動療法で治せる治せると言う人は、本当の強迫性障害の人に会ったことがないか、会ったことがあるが治せなかったので隠しているのです。
強迫性障害の人であれば、強迫性障害の理解ができてない人のことを信頼しませんし、そういう勘違いな人に治せると言われても、実際には治せないことぐらい簡単に分かります。

強迫性障害は、「あなたの病気はこういう病気なんです」と一方的に決めれることではないのです。
「あなたの病気はそういう病気なんですね」から始めないといけないのですが、ビジネス化した認知行動療法では、それがマニュアル通りでないと不都合なので、無理やりステレオタイプ化してしまうのです。

多種多様な強迫性障害を無理に一つにまとめて「強迫性障害はこういう病気」と言われても、実際の強迫性障害は患者のありのままが事実ですから、「いえ、そうではありません」となって治療ができないのです。

強迫性障害というのは、強迫行為をする病気なのではなく、根本的にはストレス(強迫)に弱いことで、その解消として強迫行為をしたり、回避行為をするわけです。
ストレス(強迫)に弱いのは、ストレスに過敏であるからで、感覚や神経といった体質的問題がありますから、それは心理的に考えてどうこうというのはほとんど関係ないので、本来は認知行動療法で治せるような病気ではないのです。

強迫症の曝露療法は、減感作療法/脱感作療法/免疫療法の仕組みを利用しています。
ようするに、嫌なことに対してほんの少しずつ慣れていく方法です。いろいろ複雑な話をしてすごいことをしているようにしますが、ストレスに慣らして耐えられるようにするだけです。
普通ならほんの少しであれば、ストレスも少ないので、何とか耐えられる、それが平気になったら、もう少しストレスを強くして、また慣れさせるという感じです。
ところが、過敏な人であると、その最初のほんの少し段階から苦痛を大きく感じてしまうので、この方法が向かないのです。
肉体的な拒否反応であれば、ストレス対象を少量にすることで脳を誤魔化せますが、そのストレス対象が強迫観念と結び付いていると、脳を誤魔化すことができません。
そもそもアレルギーというより、実際に不快なことへの生物として正常な生理反応なので、これを治すことはできません。

「C」という言葉に恐怖や嫌悪する人に、「C」を何回も言わせて、慣れさせる。
普通の人であれば、それができますが、過敏な人がやると、脱感作ではなく普通に感作が起こってしまい、余計に「C」を嫌悪するようになります。
そして、その苦痛体験(その場所など)と「C」が関連付いて、そのその場所を避けるようになったり、強迫症状が増えてしまうだけです。
ただ、それ以前に、そういう人は、ストレスに弱いことで「C」を何回も言うことができませんから、当然その治療ができません。

ストレス耐性が低く恐怖や嫌悪が強く感じるから強迫性障害なのに、ストレスに強く恐怖や嫌悪が弱い人にしか取り組めない治療法では、強迫性障害が治せるわけがありません。
しかも重症の人は社会に馴染めずにお金もない。本当に最適な治療方法であればそういう人にも受けられるはずです。

麻薬や麻酔系であれば強迫性障害に効く事はとっくに分かっています。
効く薬はあるのですが、あっても使えないなら無いに等しく、今後も強迫性障害は治せないということになります。

何か使うならSSRIが最適ですが、交感神経を優位にしてしまいますから、気の弱い心配性タイプなら向いていても嫌悪などの攻撃的症状には効かないかもしれません。
認知行動療法があるのは、SSRIを併用して治せることにしておくことで、SSRIに価値を持たせるという理由もあります。

ビジネスとして認知行動療法をやっている人は、その理論上にある昔の教科書に書かれた強迫性障害しか知りません。
絵に描いた餅であっても、それを信じる人には確かに効く、それが認知行動療法ですから、信じるのは自由ですが、かなりお金のかかることですから、ビジネスとしての認知行動療法に騙されないように、このブログを読んで正しい知識を得て普及させてください。

強迫性障害が治るか治らないかは程度によるので人それぞれですが、ストレスに弱い病気ですので、無茶はしないほうが良いでしょう。


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