強迫性障害の全貌

強迫性障害の知識の普及 Link Free

強迫行為は強迫観念を洗浄する/蛇口のハンドルと消毒液のポンプ式ボトルでの感染問題

強迫性障害の汚染恐怖や不潔恐怖の人が、過度に洗浄をするのは、今の一般の人たちが、新型コロナに感染したくなくて、手を洗うことと同じです。
人は、本人にとって危害の心配のあることを避けようとしたり、実際にダメージを受ければ、それを対処しないといけなくなります。

その危害が何なのかは、人それぞれの感受性とかストレス耐性とか経験によっても違いはあるのですが、強迫性障害であると、過敏性によって、普通は危害にならないことでも危険を感じ、そのことでの恐怖、不安、嫌悪、心配などの感情がなかなか消えなくなったり、その感情と結び付いた不快な思考は強迫観念となり、何度も繰り返されたり、長期間、離れなくなります。

こういう強迫状態になってしまうので、普通の人が思わないようなことを思い、普通は考えないことを考えてしまいますが、統合失調症的な異常思考とは違い、強迫観念や強迫行為の内容以外はまともな場合が多く、人前で支離滅裂で意味不明なことを口走ったり、人に迷惑のかかるような変な行動をしたりはしません。

そういう変な思考が頻繁に浮かんだとしても、内面だけにとどまり、それを実行しないことができるのです。
その点で、他人に対しては比較的安全なのですが、本人の中では異常思考と正常思考の葛藤によって苦しみが続きます。
強迫観念的な異常思考は過敏性により普通の内容ではないのですが、現実と関係のない妄想と違い、現実反応ですから、薬で鎮静させても、現実が意識できる限りは、浮かんでしまいます。

異常思考と正常思考の葛藤をなくすには、どちらかにするしかなく、統合失調症的な精神病であれば、正常思考が弱まることで葛藤がなくなり、妄想状態での異常思考は、現実反応ではありませんから、薬で鎮静すれば、現実には問題が残りません。

強迫性障害であると、そうなりません。
頭の中の強迫行為だけで解消できるような強迫観念も頻繁に浮かびますが、現実と結び付きの強い異常思考は、薬で鎮静させたり、頭の中で振り払ったりするだけでは消えませんから、現実行動の強迫行為をしないといけなくなります。

過敏であることで、様々な些細な刺激も実害になってしまうので、恐怖が起こりやすくなり、恐怖や嫌悪、不安などを煽るような情報を見聞きすると、その情報が頭から離れなくなります。
そういう情報とか経験が元になって、なんらかの強迫観念が浮かびます。
その情報に恐怖を感じるだけでなく、汚れを感じれば、その汚れの考えとかイメージが離れなくなりますから、その強迫観念化した汚れが体などに付着すれば、なかなか落とせなくなります。
それは妄想ではなく、何が何か分かっている上での現実反応の思考ですから、物質的な汚れと同じように洗浄などしないと落とせません。

恐怖や嫌悪が強いほど、強迫性が強まり、汚れの付着力も強まります。
それで、洗浄などが一般的レベルよりも度が過ぎてしまったり、そういう苦痛を避けるために、不安も強まり、汚染回避や汚染対策も異常なレベルになります。

強迫性障害での過敏性には三種類あり、外界の刺激への過敏(いわゆる感覚過敏)、内面的な刺激(不快な思考や感情、嫌な記憶など)への過敏、その両方への過敏です。

汚染恐怖や不潔恐怖の人には、いわゆる感覚過敏のある人も多く、内面的な思考などでの刺激だけでなく、外界の刺激にも過敏反応する人が多いのです。
その外界からの不快な刺激と思考が結び付いて強迫観念になります。
ですから、汚染恐怖の人は、確認強迫などのその他の様々な強迫症状を持ち合わせている場合が多く、内面的な「こうなってしまうかも」という不安だけでなく、実際にそうなってしまうことでもダメージを受けて、恐怖や嫌悪の強迫観念が強まります。

「かもしれない」という不安が強迫観念という考えは、固定観念みたいなもので、汚染恐怖を無理にそれに当てはめようとすれば、「よごれるかもしれない」「きたないかもしれない」「汚れて病気になってしまうかも」というのが強迫観念であるという説明が多くなります。

そういう不安も強迫観念になりますが、それだけではなく、実際に汚されることでも、汚れの強迫観念が強まり、その汚れ(汚れの考えとかイメージ)が離れなくなってしまうのです。
離れなくなれば、嫌悪や恐怖も続くので、それが苦痛なので、洗浄などで離そうとしますが、強迫性が強いほど、付着力も強いので、一般よりも時間がかかったり、過剰になります。

「汚れて病気になってしまうかも」という強迫観念もあるのですが、病気だけを心配するわけではありません。
汚れること自体の不快感とか、その汚れが落ちない強迫状態にも耐えられないのです。
その汚れは、トラウマに触れてしまうことでの汚染であったり、何らかの耐えられない苦痛と繋がっていて、その何かに対する恐怖や嫌悪が強いほど、それに汚されること(それが離れないこと)にも耐えられないのです。
強迫観念化した汚れは、本人の経験や感受性があっての汚れですから、基本的には他の人には意識できませんし、他の人にはダメージがありませんが、過敏性による強迫観念は、変わった内容でも現実反応ですから妄想ではありません。

確認強迫だけの人は、どちらかというと、内面的なことに過敏反応しやすいので、汚染恐怖や不潔恐怖にはならない人が多くいますが、確認させる不安や恐怖は、現実の何かが引き起こしますから、外界の刺激への過敏もあるのです。
ただし、ほぼ無意味に、よく分からないけど何度も確認するという場合は、行為依存症の人もいますから、そういうタイプは、特別、敏感というわけでもありません。

確認強迫の場合も、強迫観念(意に関わらず浮かび続ける不安な思い)に、頭の中が感染してしまうのですが、それは水洗いとかでは落とせない内容なので、その強迫観念の付着(感染、汚染)を、確認行為で、洗浄するのです。
そういう意味で、ほとんどの強迫行為は、本質的には、恐怖感染の洗浄行為なのです。

確認強迫も妄想でやっているわけではありません。
心配や不安や恐怖を引き起こす現実に反応して、確認しなければならなくなってしのうので、現実と無関係に、頭の中だけで作られる妄想症状とは別の状態です。
恐怖の対象が現実のことで、そうなったら(本人には)実際にダメージの強いことで、それへの思考が自分の内にあることだと分かっていれば、妄想ではありません。

新型コロナも現実の害ですから、妄想ではありませんが、見えたりはしませんから、ほとんどの人は、実物ではなく、考えとかイメージによって、感染対策しているのです。
そういう考えとかイメージが離れない状態が、強迫状態です。
普通の人が恐怖することが怖くないわけではないので、新型コロナ恐怖が強迫観念となれば、普通の人よりもその恐怖に強迫される状態が異常に長く続いてしまいます。

今は、強迫性障害の人が汚いと思ったり、避けていた物や場所などが、普通の人にもそう思えるようになっていますが、それはコロナに感染しないためであり、コロナ騒動が落ち着けば、ほとんどの人は元に戻ってしまうでしょう。
強迫性障害の人は、コロナ騒動が落ち着いてからも、コロナ感染恐怖がしばらく続くことも考えられるし、それがなくなったとしても、元々からある他の症状は続いてしまいます。

症状が確認強迫だけとかの人なら、思考的こと(強迫観念)の刺激には敏感なのですが、外界の刺激(汚れなど)に対してはそうでもないという場合が多いので、普通レベルにコロナ恐怖があっても、強迫的確認症状にはそんなに影響ないかもしれません。
ただ、コロナ恐怖が強いことで、ナーバスになって、他の強迫観念が浮かびやすくなり、確認強迫が強まることはありえます。

強迫症の人は、恐怖が強迫観念になって消えなくなりますから、新型コロナへの感染恐怖は汚染恐怖や不潔恐怖の人には確実に悪影響します。
以前から重症の人は他の汚れなどに対して、ずっとそうしているわけですから、強迫行為があらためて極端に重症化することはないかもしれませんが、新型コロナの感染対策は、汚染恐怖での強迫行為や回避と同じなのですから、強迫観念も強迫行為も悪化しやすくなります。

普通の人も大変な時期ですが、強迫性障害の場合、コロナだけにそうしているのではなく、普通の人は恐怖しないことに対しても、過敏反応が起こり、普通は汚れないことで汚されたり、普通の人よりも汚れを強く感じるなどの違いがあり、そのことにより、普通のレベルよりも感染対策や洗浄の程度が比べ物にならないぐらい異常に過剰になってしまいます。
その上に、今は、コロナ恐怖も重なっている人が増えている感じなので、強迫症状にも鬱にもよくない状況になっています。

今は、感染症対策で頻繁に手を洗えということになっていますが、接触感染には、間接接触感染も含まれます。

新型コロナは紙とか物の上でも数時間生きているそうですから、手を洗ってから、ポケットに手を入れたり、カバンの中から何か取り出すだけでも、手洗いが無意味になってしまうことがあります。

電車やバス、病院などの公共の場のイスなどにも付着していることも考えられますから、手を洗って、そこに座った後に、ズボンなどを触れば、間接的に接触します。

汚染や不潔恐怖の強迫症の人であれば、症状としてそういう間接的な汚れなども注意してしまいますが、大人でも普通の人には防ぎ難いです。

しかし、何度も書いていますが、コロナは触るだけでは感染しませんから、無意味に頻繁に洗う必要はありません。
気持ち的に不安なら、そうしても仕方ないですが、もし食事の時に手にコロナが付いていても、それが鼻や口の中に運ばれなければ、感染しませんから、箸などを使えば良いだけです。

それでも、手に付いていたコロナが剥がれ落ちる可能性もゼロとは言えませんし、公共の場の物を触った後に気を付けられない人もいますから、うつさないように感染拡大の防止としては、適度な手洗いは効果的です。

ただ、せっかく洗っても、洗う前に触っていた物(蛇口のハンドル、自分の持ち物、イス、机など)を触れば、意味がないという話です。

正しい手洗いとか言いながら、学校や会社、病院などの蛇口のハンドル問題が放置されています。

子供達に手を洗わせるにしても、清潔にするというのは頭とか神経を使うことなので、小さな子供にはなかなか難しいことです。
ですから、休校もいいのですが、いつかは再開することになります。

その時に困るのが、学校にある蛇口は、ほとんどがハンドル式であることです。
ハンドルはみんなが汚い手で触りますから、きれいに手を洗っても、最終的に汚いハンドルを触ることになり、せっかくの洗浄が無意味になります。

学校にも手洗い用の自動水栓をいくつか設置するか、それが難しいなら、ハンドルを閉めた後に消毒液を使うとか、ハンドルは厚手のペーパータオルなどで摘んで閉めるようにすることです。

家の蛇口のハンドルなら閉める時に持つ場所を変えたり、なんとかできるでしょうが、それでも子供は難しいし、公共の場にあるお手洗いだとそうも行きません。

会社もそうですが、病院なども手洗い用蛇口が自動水栓ではない所があります。
飲食店の調理場などもハンドル式が多いです。
汚い手でハンドルを回して、どれだけきれいに手を洗っても、汚いハンドルを回して閉めることになり、洗浄が水の泡になります。
これによって感染しやすくなっていることに気付くべきです。

ハンドル式もそれなりに良さがあるので、それもあったほうが良いのですが、これを機に、学校、会社、病院、調理場などの蛇口で、手洗い専用としては自動水栓式にしたいところです。

手を洗ったあとに、ハンドルを触って、汚れて、それを消毒するとしても、消毒液のボトルのポンプも押す部分は汚いので、そこを押して、その後の消毒が不十分だと逆に危険です。
十分に消毒すれば問題ありませんが、洗浄はされませんから、消毒して無害化→流水の手洗いで物理的に洗い流す。の順が安全です。

スーパーなどの入り口に置いてある消毒液のボトルも注意するべきで、これも厚手のペーパータオルなどで押すと良いでしょうが、その紙を捨てる場所が近くにあるかどうかです。
そして、それが恥ずかしいとできませんから、センサーで自動で出るボトルを設置すると安全です。

多くの場合、たぶんそこまでしませんから、消毒液を使うなら、自分で携帯するのが一番です。

蛇口のハンドルとか、消毒液のボトルのプッシュ部分とか、そんなことは気にし過ぎだという状況ではありません。
コロナ騒動が終わっても、それらのことにも注意したほうが衛生的で良いことなのです。

公共の場のドアノブなどもティッシュで摘んで開けたり、エレベーターのボタンなどもティッシュなどで押すと良いのですが、ウェットティッシュだと濡れてしまうので、あとの人の迷惑になりますから、気をつけましょう。

あと、手を洗ってから、ハンドクリームなど使うと、汚れが付きやすくなり、特にワセリンなどは水分を弾いて洗いにくくなり、頻繁に洗いたい人には向きません。
強迫性障害(汚染、不潔恐怖)の人は、その上、違和感に弱いので、ベタベタする付着感が苦手な人が多く、ハンドクリームなどを使わずに、手が荒れている人が多いです。

手が見た目として、きれいでありたいなら、頻繁に手を洗うよりも、手肌に優しい消毒液を使うほうが良いでしょう。


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