強迫性障害の全貌

強迫性障害の知識の普及 Link Free

PTSD/複雑性PTSDと強迫性障害の違い

症状は似ているのですが、トラウマか強迫観念かの違いがあります。

強迫観念というのは、内容は人それぞれで、どんな些細なことでも本人が苦痛ならそれが強迫観念なのですが、PTSDでは、トラウマになったショック体験の内容が定義されています。
通常、誰でもショックを受けるような体験でなくてはいけません。それによって、トラウマになって、回避やフラッシュバック、鬱や陰性の症状が出たりします。

本来は、トラウマになった原因ではなく、トラウマになったことでの症状を診るべきなので、トラウマになったショック体験を限定するのは良くないのです。
なぜなら、トラウマで本当に深刻に苦しんでいる人は、トラウマになっている体験を人に話したりできませんから、トラウマにまったく触れられないような人まで、PTSDには含まれないことになってしまいます。

では、なぜトラウマになった体験が何でも良いというわけではなく、誰もが理解できるような内容に決まっているのかといえば、他の人なら大してショックにならないような些細なことで、トラウマになって、PTSDの症状が出た場合、PTSD以前に何らかの精神的障害があることが考えられるからです。

それは、神経過敏や強迫観念の影響かもしれませんし、極端にネガティヴに解釈してしまう鬱病的な障害かもしれませんし、妄想性の障害かもしれません。
もちろん、PTSDとそれらの障害の両方の症状があってもおかしくありませんが、もし誰もがショックを受けるような体験で、PTSDの症状があっても、他の人が気にしないような些細なことまでトラウマになってしまう場合は、その症状の治療を考えるべきだからです。

トラウマによるストレス障害は、PTSDだけではありません。
嫌悪感のある物事を見聞きしただけでも洗浄するような重度の汚染の強迫症状がある人が、強いトラウマを受けると、日常の中での拒絶、回避、悪夢のようなPTSD的な症状だけでなく、トラウマに関連する物事を見聞きしたりすると、嫌悪感で全身が汚染され、身に付けているものも含めて全部洗浄というトラウマ汚染の強迫症状が重なります。

強迫観念もトラウマも重い場合は、一生消えません。
そのことを覚悟した上で、どう生きるのが最善かを今後お話します。