脳深部刺激療法の問題点
今回は、脳深部刺激療法を受けたアメリカの強迫症患者の自殺の話など書いてありますので、そういった内容が苦手な人は読まないで下さい。
強迫性障害に脳深部刺激療法(DBS)が有効であるという話があります。
強迫性障害に関わっている脳領域に電気刺激を与える療法ですが、最近では、頭の外側から高周波で刺激する方法も実験中であるようです。
1つ、気になったことがあります。
アメリカで双子の姉妹の患者が、いろんな薬を飲んで、いろんな療法でも治せなかったので、脳深部刺激療法を受けたそうです。
脳深部に刺激電極入れ、側坐核の活動を抑制することで、不安が抑えられ強迫観念や強迫行為が改善するという仕組みです。
家族を含めて人に触れられないとか、旅行に行けないとか、重度の汚染恐怖があったようですが、脳深部刺激療法で強迫性障害はある程度改善したそうです。
しかし、その後、二人で自殺をしてしまったという話です。
重度の汚染恐怖があると、他人に触れられたり、接触的な治療も困難なのですが、なぜこの双子は、脳深部刺激療法を受けられたのでしょう。
それはともかくも、もし強迫性障害が改善してなかったら、前回の記事に書いたように自殺することに強い抵抗があったはずです。
強迫性障害も辛いのですが、その症状がブレーキになって防げることもあるのです。
おそらく、脳深部刺激療法で自殺への恐怖感(正常な不安)が軽減されてしまったのではと考えました。
銃による致命傷ということなので、双子のどちらかが、もう一人を撃った可能性もあるそうなので、自殺だけでなく、他殺もできる精神状態になっていたのかもしれません。
脳深部刺激療法をしたあとの精神的アフターフォローがなかったのかもしれませんし、どうしてそういう精神状態になったのかくわしくは分かりませんが、ロボトミーが問題になったのと同じで、精神面(心)を無視して、脳を機械的に変化させるだけでは、そのような危険があり得るのです。
この双子の患者の人生を深刻に受け止めて、強迫性障害の重大性を理解しつつ、精神障害への脳深部刺激療法の適応は、予期せぬ問題なども考慮して、今後も慎重に検討するべきことです。