強迫性障害の全貌

強迫性障害の知識の普及 Link Free

嫌なことが忘れられない/強迫的記憶/潔癖強迫

強迫観念は、「~かもしれない」という心配事のような内容だけではなく、汚染恐怖のように、実際に汚れて強迫観念が浮かぶこともあり、それが周りからは見えない汚れであっても、本人の頭の中では視覚化されているので、その汚れの記憶がある限りは、何日待っても強迫観念は消えません。
何もしないでしばらくしたら消えるようでしたら、それは強迫観念ではあません。
現実と結び付いている実際の汚れは、目に見える汚れと同じように、洗浄しない限りは落ちませんし、その汚れが拡大しないようにするためにも洗浄しないわけにはいきません。

そういう現実の嫌なことに反応して強迫観念が浮かぶこともあれば、特に何もしてなくても考えたくも思いたくも思い返したくもないことが頭の中だけに浮かんでしまうという強迫観念もあります。
嫌な考え、嫌な思い、嫌な記憶などのですが、そういう頭の中だけの強迫観念は、強迫行為も思考で行うことになり、頭の中でその思いを振り払おうとするわけですが、強迫観念なのでなかなか消えてくれません。

強迫観念は、うつ病的な反芻思考と同じで、打ち消してもまた現れる性質があり、強迫性障害では、嫌なこと、恥ずかしかったこと、悔しかったこと、辛かったこと、傷付いたこと、そういう記憶を思い返しやすくなります。

PTSD/複雑性PTSDの場合は、その強迫観念がトラウマ記憶の想起やトラウマ関連の物事に限定されますが、強迫性障害ではトラウマ記憶などを含めて、嫌なこと全般を忘れるということができなくなります。

トラウマというのは、すでに傷付いた後なので、それから身を守るということはできません。
体の傷跡も消え難いものですが、心の傷跡はそれを思い返す度に消え難くなって行きますから、強迫性障害の人にトラウマがあると、それは常に頭から離れず、度々強く思い返してしまうようになります。
よっぽど、楽しいことなどにのめり込めている時は、頭の片隅に追いやることができるかもしれませんが、それ以前にトラウマ記憶やトラウマ関連の物事への警戒心で気が散って、楽しむことに集中できません。

解離性健忘のように、辛かったことの記憶から逃れるためにその記憶を無くしてしまうことがあるという説はありますが、本当にショックを受けたトラウマ記憶を忘れるということは、誰にもできません。
ただ、解離ではなく、幼い頃にまだ物事が分かってなくてそのお陰でトラウマ記憶や強迫観念にもならずに、普通に忘れていたことを、後々、なんらかのきっかけで思い出して、それが酷いことだったと気付いてしまい、傷付いてトラウマになってしまうということはあり得るかもしれません。
それはトラウマを思い出すわけではありませんので、正確な記憶ではないかもしれませんし、偽りの記憶や妄想的記憶である可能性もあるのですが、その記憶を確信してしまえば、結果的にPTSD/複雑性PTSDの症状が出ることもあるようです。

強迫性障害の場合は、嫌なことを長らく忘れていたということにはならないので、ほぼ正確に嫌な記憶が残り続けます。
嫌なことへの認知力や記憶力は抜群に良いのですが、良いことというのは、当然、不快感や違和感もなく気になりませんから、強迫的記憶にならずに、普通に忘れていきます。
つまり、重症の強迫性障害だとほぼ嫌なことしかないのですが、そうなってはいけないという気持ちから、良いこと、善良なこと、幸せなこと、正しいこと、安心できること、潔癖であることを過剰に求めます。
敵対する不安や恐怖への強迫行為で、そうせざるを得ないのです。

嫌なことに対する警戒心で「こうしなければならない」「こうなってはいけない」というこだわり(自分で決めたルール)が強くなり、嫌なことが起こると、その不快感だけではなく、自分のルールを守れなかったショックも重なって、余計にダメージを受けて、またそれで嫌なことへの警戒心が強くなり、こだわりも強固になります。

この傾向は治せませんが、方向性を変えられれば、役立たせることは可能です。

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